人が変わるために必要な期間とアプローチの仕方について メモ

 
 多くの場面においては、基本的には過去と他人は変えられないものだが、その相手が変わりたいと望んでいる場合においては、手間と時間はかかるが多少はできるだろう。
 ただし、本人に問題意識ややる気がない場合はほぼ不可能である。
 その場合、本人がやる気になって、「何とかしたいのでお願いします」と言ってくるような状態になっていれば、何とかすることはできる。
 
 例えば職場などで、「もっと成長したい」と考えている部下がいた時に、その人が「もっと成長したり、より良いやり方をあなたから学びたい」と思うようなら何とかできるのだろう。
 しかし、そのように思わない限り、こちらから何を言っても変わるはずもないし言うことも聞くはずはないのだ。
 それは、子供に向かって「勉強しなさい」と言っているのと同じことなのだ。
 
 しかし、人間というものは、同じことを何度も何度も言うことで少しずつ変わってくるものだ。
 それに加えて、言い方やアプローチの仕方を工夫することでも、また少しずつ変わってくるものだ。
 
 
 
 ただ、基本的には、良い方法やおすすめの方法を教えたところで、やる人はほぼゼロと考えていたほうがよい。
 もしも1ヶ月くらいで始める人がいたら、むしろ早いくらいだ。
 だから、他人に何かを助言をしたり、行動を変えるようにアプローチをする時は、その効果が出るまでに必要な期間は早くても半年、遅くて1年くらいは見ておいた方が良いだろう。
 
 他人を変えるということはとても大変であるというのは、この部分のことなのだ。
 これを先に知った上で、「半年から1年くらいかかる」と思ってコツコツやっていけば、意外と変化は起こってくるものだ。
 他人に何かを言ったり指導したりして何らかの結果を出したい場合、そのくらいの腹積もりで根気強く言い続ける必要があるのだ。
 
 だから、1回や2回行ったくらいで変わろうとしたり、実際に行動に起こす人がいたら、大切にしてあげることだ。
 言われたことのほとんど全てを身につけて成長していくことになるのだから、言われた通りに行動に移そうとする姿勢を持っている方が、むしろ凄いことなのだ。
 多くの人はアドバイスを受けても右から左に耳を抜けていくだけなので、いくら「これをやれ」言ったところで拒絶されてしまうことになるのだ。
 
 もちろん、こちらからの伝え方も一つだけにこだわるのでなく、「こういうやり方もあるよ」とか、「こうやってうまくいった例があるよ」とか、「○○でおすすめだったよ」とか「最近の本や動画で見つけたよ」というような、様々なアプローチをしながら進めていくことが必要だ。
 そうやって手を変え品を変え伝えていった上で、半年から1年くらいかけて、ようやく行動が変わってくるのだ。
 
 
 
 さて、あなた自身は、他人から1回や2回何かを言われただけで、サッと自分の行動を変えることができるのだろうか。
 もし、あなたの尊敬する偉い先生や憧れの存在に言われたとしたら、一瞬でガラッと、今までの様々なこだわりも屁理屈も何もかも捨てて、あっさりと変わってしまうのだろう。
 
 ただ、それがあなたにとって、そこら辺のその他大勢の部類の人に言われたとしたら、どうだろうか。
 現実を考えさせて大変申し訳ないが、あなたがそうしないのと同じように、他の人もやらないだけだという、当たり前のなのだ。
 
 人間の変化というのは、意外と遅いものである。
 その人の人生でやりたい事や大切にしていることだってある。
 おんなじことを何十回も言われてようやく納得して、しぶしぶやり始めるのが普通の人間なのだ。
 
 世の中には、「自分の部下や教え子を育てたい」とポジティブな感情を持って指導に当たっている人もいる。
 真面目に、熱心に、自分のことも相手のことも社会のことまで考えて、一生懸命尽くそうとしてくれる人だっている。
 
 ただ、どんなに一生懸命でも、簡潔でも、正しくても、なかなかすぐには伝わらないことも多いのだ。
 だから、半年や1年くらいかけて少しずつ変わって行ってくれれば早い方だと考えて、それくらいの期間を見越して接していくと良いだろう。