新しい場所での人間関係の変化に上手に対応するには


1. 趣味やサークル、習い事など職場以外での人間関係を築くには

 ①よく出席して顔を合わせる頻度を上げる
 ②自分から話しかけたり質問したりする
 ③笑顔でいるなど、相手からも接しやすくなるようにする

 この場合は、積極的に、率先して、とまでは言わないまでも、人間関係は構築していった方がよいでしょう。
 なぜなら、基本的には収入を得るための活動、雇用や取引の関係、ストレスや理不尽があっても我慢するなどの関係性ではなく、好きなこと、没頭できること、人生や教養として身になること、仲間が増えると嬉しいなどといったことが活動の主な理由であることが多いため、職場関連とは縁遠い関係性が築ける可能性の方があるからです。
 また、よほど良い人間関係を築けた相手ができたなら話は別ですが、会社の愚痴などのネガティブな話題などはあまり口にしない方がよいでしょう。

 

2. 職場での人間関係を築くには
 あなたが経営者か、人たらしのスキルが必須の特別業務が仕事の人なら話は別でしょうが、一般的に会社で働いている人は、今その場所で自分がやるべき仕事を、

 ①さっさと覚える
 ②さっさと終わらせる
 ③一人立ちして、またはチームで連携してできるようになる
 ④資料として残したり次の人に教えられるようになる
 ➄利益もしくは効率を上げる

 ということです。
 しかも、技術としても人間としても磨き続けながらやる方がより良いです。

 職場では、転職や人事異動、プロジェクトなどによって人間関係が変わることが多いです。
 ですから、人事異動をする度に人間関係を一から上手に構築しようとするしても、深い信頼関係ができたころには時間がきてしまったり、配置換えや出世などで異動することになるなどキリがありません。
 会社側としても人間関係が上手く構築できたから昇格や昇給をするようなことはまずありませんし、良い人間関係が出来ても業績がそこそこであれば、チーム丸ごと評価はそれなりのものになりかねません。

 また、そもそも会社の目的は仲良しグループを作り上げることではありませんから、その会社にある仕事がしっかりできた上で、最低限度くらいの人間関係があればよいという気持ちで十分なのです。
 これは別に、冷たく接してもよいとか、サバサバしていた方が優位に立てるとか、人としてどうかと思うような言葉を投げつけたり行為を行ってよいという意味ではなく、何を優先とするかの話です。

 別の視点で見てみれば、仕事が正確で速いとか、締切には余裕を持って間に合うとか、交渉や折衝が上手とか、目標とされた数値は必ず達成するという人の方が、周りと比べて多少口下手だとか、あがり症だとか、内向的であったとしても、仕事の上では頼りにされるので、そもそも悪い人間関係にはなりにくいです。

 要は、自分の範囲の仕事をしっかり覚えることの方が先であり、本来の業務で足を引っ張ったり疎まれたりしない最低限の水準は上回っておく必要があるということです。
 そのため、今すぐに無理して気をまわして親密な関係作りに時間を割くことはないということです。
 仕事を覚えるまでの間は、普段使わないような道具や言葉や慣習に慣れるまでが大変かもしれませんが、普段は明るく元気でいたり、丁寧に接したり、ハキハキ話すくらいは土台としておくべきだということは言うまでもないでしょう。

 

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 先の例の趣味や習い事においてはこちらが選択・決断できる幅が広いため仕事においての話題としますが、結論としては、職場の人間関係の変化にあえて強くなろうとする必要は特にないと言えるでしょう。
 それよりも、行った先で必要な最低限度の仕事を覚えること(ある程度のことなら一人で完結できるようになるなど)、そして人格や礼儀を身に付けておくことの方が優先されます。
 そこを差し置いてメンタルを新たに鍛えるとか、苦手な人の対処法を予め知っておくなどの自己啓発系の本でよくあるような知識を伸ばそうとすることではないのです。

 その場所においては、仕事ができる人や得意な人が成果を出すものですし、ありがたがられるものですし、仕事さえできていれば周囲の人達との人間関係も自然とそこそこ上手く回すことができるようになるものです。
 もし、まだ仕事ができない部分があったり苦手な部分あるという段階にいるなら、本来は優秀で素晴らしい人柄の人であっても、邪魔くさがられたり、陰口や悪口を言われたり、適当にあしらわれてしまうことになるのです。

 職場でやるべき仕事を差し置いて人間関係を優先して深める暇があったら、目の前の仕事を一生懸命やり、先にいた人達から一つでも多くのことを教わったり吸収したりしながら、一目置かれるようになることです。
 そこを、お世辞を言ったり機嫌を取ったりして主となる仕事の力を疎かにしているから、「口先だけの奴」になってしまうのです。
 やる事が的を外していたり、時間がかかり過ぎていたり、手順などの効率が悪いのなら、さっさと改善するに越したことはなく、他人を蹴落としたり、見下したり、他人の手柄を横取りするなどということに時間を使うべきではありません。

 

 何度でも念を押しますが、職場での人間関係を良くするためには、まずはその場所での仕事を覚えることです。
 目の前の仕事に集中し、覚えてできるようになることにエネルギーを費やすことです。
 そして、一生使える仕事術やコミュニケーションの基本などを実践する場や時間でもあると捉えておくことです。

 自分の仕事さえできれば、自分よりも仕事ができない人や後から来る人をゴミのように扱ってもよいと思っている人も少なからずいますから、そういうのはサラッと受け流せるように早く一人前になって下さい。
 そのためにも、「新しい職場にはヤバい奴がたくさんいるかもしれない」と身構えて、視野が狭くなる考えばかりするのはよくありません。
 変にメンタルを強くしようとしたり他人に迎合するようなことをしようとするから、最初の一手が既に違うから、やればやるほどおかしな結果が自分に返ってくることになるのです。

 また、「人間関係をしっかり築こう」と気構えし過ぎることも、かえってストレスになったりします。
 人間関係を構築し過ぎない方がスムーズなやり取りに繋がることもありますし、自然体の自分の状態の方が実は周りにウケたり、その自然体のレベルがそもそも高かったりすると、これが意外と強みになることも多いのです。

 ですから、仕事を覚えることを優先させた結果、「仕事を覚えることを優先させて盤石な力をつけたけれど、人間関係は最低限度のままだった」となったとしても、人間関係について過剰に不安になることはありません。
 仕事場において仕事ができる人になれば、仕事だけでなく、性格や態度はどうか、より適した現場はどこか、より能力を発揮してくれそうなポジションはどこかと、評価する人からいつも見られているものだからです。

 

 そうして頑張ってやっていくうちに、仕事熱心で厳しい人、物覚えがよく優秀な人、面倒見の良い懐が深い人、何をやっても箸にも棒にもかからないけど誠実で正直な人など、思いのほか良い関係に恵まれていくことになるでしょう。
 良い人間関係を築けた人とも、異動や転職などによって離れ離れになり、場合によっては残念ながら二度と会う機会がなかったりします。
 そしてまた自分自身もあっという間に異動や転勤をしたり、一念発起して起業したりフリーランスになったりするのです。

 色々心配せずとも、その場所でやるべき仕事をきちんとこなせていればそもそも信頼されますし、悪い噂も立たないものです。
 人間関係も、こちらから行儀の悪いことをしたり、ネガティブなこと言ったりやったりしなければ、大きな問題は起こりにくいものです(人は様々ですので100%とは言えませんが)。
 職場での人間関係の変化に上手に対応するには、「そこでの仕事をいち早くできるようにし、技術も人間も磨き続けること」に尽きるのです。