話し合いでも会議でも、をしている時に相手の意見に賛同できない状況というものはあると思うが、そういう時でもまずは相手を尊重し、自分のネガティブな感情を排除し、相手の全てを否定せずに部分的に意見をしていくことが大切である。
「この部分は良いと思いますが、こちらの部分はどうでしょうか」というかたちで、できている部分は尊重するのだ。
そうすると、角が立たずに反対意見や懸念点を伝えることができる。
相手の意見について「それ、ちょっと違うんじゃないかな」と思った時、その点についてを包み隠さず直球で指摘てしまうと、時には相手が気を悪くしたり、今後の人間関係が悪くなるのではないかと気にしてしまうこともあるかと思う。
或いは、仕事上の会議で問題点を議論している時などに、言葉に出すと気まずい雰囲気になったり、反論したら相手が怒り出してしまい、それが上司だったりするとマイナスの印象を与えてしまうのではないかと気にしてしまうこともあるのではと思う。
というような点を踏まえると、自分の意見や考え方を述べるのはとても大切なことなのだが、一方で、言い方や態度などに注意したり配慮したりすることも必要ということになるのである。
①相手の意見を聞いて理解する
人間は、「相手の意見が間違っている」と思った時に、その意見を遮断してしまう傾向がある。
そこで先入観を持って「この人は自分と反対意見だ」と決めつけてしまうと、自分とは反対の意見ばかりが頭に入ってくるようになる。
そうすると、お互いの意見が摺り合わなくなって、見当違いのやり取りをすることになり、議論がかみ合わなくなってしまう。
だから、「相手とは意見が違う」と思った時はとりあえずその感情を横に置いておき、中立な立ち位置で相手の話を具体的によく聞くようにすることだ。
そうして聞いていくうちに、最初は大きな差があると思っていた意見が、例えば「3つの意見があるうちの2つには同意できる」などというように分かってくる。
この部分を適当に聞き流して判断してしまうと、「自分とは反対」という思い込みによってそれ以外の情報が入ってこなくなってしまう。
要は、「相手の意見を一通り聞いてから、最後に判断すれば良い」ということである。
最初から否定的な立場で聞いてしまうと相手の意見に寄り添うことができなくなってしまうので、「自分とは違う意見だな」と思った時はまずは詳しく聞いてみて、より具体的に情報を把握し、摺り合わせていくようにすることが大切である。
②自分の意見を的確に伝える
「感情を排除して事実を伝える」ということである。
普通に「この点は良いのですが、その考え方はちょっと賛同できませんね」と落ち着いて穏やかに言えばよく、「それ、違うんじゃねえの?」とする必要はないということだ。
もちろん、怒った口調で言う必要もない。
これは会社の人間関係だろうが友達関係だろうが同じことであり、普通は相手と仲が悪くなりたいわけではないし、できれば喧嘩をせずに丸く収めたいと思っているからこそ意見が出てきている時だってあるだろう。
だから、自分がどういう感情を思っているかということでなく、「感情を入れずに自分の考えを端的に、事実を事実として伝える」ことだ。
自分がそう思った根拠や理由などの事実を、証拠として出していくということだ。
できれば、感情的にならないように冷静に、「その案だとこういう弊害がありますよ」とか「こういうことが起こり得ると思います」というように、淡々と理詰めで伝えていくことである。
③相手の意見に敬意を払う
相手の意見が自分と反対であっても異なっていても、相手はそれについて一生懸命調べたり準備をしてきているということは決して忘れてはならない。
相手がちゃんとやってきたということをまずは受け止めるのだ。
その上で反対意見を述べるならそうすればよい。
そこを押さえておかないと、相手も見ている人も気分を害したり、腹を立てることになる。
そして自分自身も、たとえ自分の意見や反論がどこからどう見ても100%正しいものだったとしても、相手を見下したような言い方をしたり、相手に対して敬意のない振る舞いをしていたら、失礼な人だと思われることになるのだ。
そうすると、自分は「論理的には正しいのにマイナスなイメージ」というわけの分からないダメージを受けたり、レッテルを貼られてしまいかねない。
最低限、丁寧な言葉遣や物腰で振る舞うように配慮し、失礼な態度や怒りを表す表現は慎んだ方がよい。
下手をすると、そんなつもりは一切ないのに、相手に「人格否定された」と受け止められてしまうことになりかねない。
だから、相手のことを一人の人間として、一人の企画や計画の立案者として、一人の一生懸命頑張って調べて準備して発表してくれた人として敬意を払った上で、あなたの「感情を排除した論理的な意見や懸念点」を述べる必要があるのだ。
それができていれば、少なくとも反対意見を言ったからといって人間関係がこじれることもないのである。