より良い人間関係を築く力は大切です。
自分の専門分野の能力を高めることももちろんですが、決してそれだけに固執しないことです。
本を読んでみるでも、何かの会合に顔を出すでも良いので、日頃から少しずつでも、一日に一つでも、人間関係構築力を磨くことに関する実践をしてみると良いでしょう。
①人に親切にする
「人に親切にすることで、相手からも親切が返ってくる」ということを循環させて、だんだんと良い人間関係にしていくということです。
心理学では「返報性の法則」と言われることもありますが、これを続けていくことで良い人達に囲まれていきます。
これがまず一点目で、「自分が親切の最初の一人目になる」ということである。
次に、「人から親切にされたら、自分も親切にできることを周りの人にしてあげる」ことです。
例えば、人よりも何か得意なことで上手くいっている時や、良いことがあって上機嫌な時など、気持ちに余裕がある時くらいはその余裕の分だけでも使って、人に親切にしてあげるのです。
また、「自分よりも先に誰かが人に親切にしている時かつ自分にも余裕がある時は、親切の輪を広げていく役割に回ってあげる」とよいでしょう。
基本的には、好き嫌いで分けずに誰にでもきちんと挨拶したり、忘れずに「ありがとう」と感謝したり、「何か手伝えることはありますか」などという何気ない一言でいいので、自分から声をかけてあげる気持ちを普段から持った上で、親切の押し売りにならないように振る舞うことが大切です。
また、中には人の親切を仇で返したり利用してくるような奴もいますから、そういうのをきちんと潰せる実力やネットワークを備えておくようにすることも怠ってはなりません。
②自分の事として考える
要するに、「自分のせいである」と考え、何か悪いことが起こった時には、「身から出た錆」、「原因は自分にある」、「自分の力不足だ」と受け止めたられるようになることです。
その反対に良い事が起こった時は、「おかげさま」、「これは運が良かったのだ」、「周りの人の支えがあったからだ」と思うようにしておくと良いでしょう。
もしも悪い事が起きたら「自分のせいである」と考えることで、周囲や社会に不平不満を言うよりも、自分自身を振り返ったり解決策そのものに目が向きやすくなるということです。
たとえ腹を立てることがあっても、一旦落ち着いて視点を変えてみることで、「ここが原因だった」、「次からはこうしてみよう」となっていく方が、いいアイデアも湧きやすくなるし、前向きにもなるし、未来に対して建設的になっていきす。
個人的には、「自分はスゴイ」とか「自分のおかげだ」と鼻高々に思う姿は、家族や古くから付き合いのある親友や、別の業界にいる親しい友人程度にとどめておくと良いでしょう。
自分が何かを成し遂げた実績や嬉しい気持ちを自分で認めて褒めることは決して悪いことではありませんが、現実では「どこで誰が見ていて、どのように思い、その後どういう行動をとるのか」までは分からないものです。
もし「腹を割って心から素の自分で話ができる」という環境でないなら、取り敢えずのところは「自分はスゴイ」は一旦グッとこらえておき、良くない状況を打開するための策を練ったり実力を身に付けるように磨きをかけていく方が、人付き合いも損ないませんし今後に繋がります。
③自分を変えた方が楽なことは、変える
他人を自分の好きに変えることができればそれが理想なのでしょうが、現実としてそれはまず難しいことです。
ほとんどのことにおいては「過去と他人は変えられない」と思っていた方がよいでしょう。
一例として、野菜嫌いの子供に「食べなさい」と躾けるとします。
その時の対応として「叱って食べさせる」というのもありますが、そこの家のやり方によるでしょう。
別の方法としては、自分の料理のレパートリーを増やしてみることもできるでしょう。
後者の対応をするなら、ちょっとネットでも調べてみて「子供ウケした○○料理のレシピ」などで好評なものを真似てみるとか、その嫌いな野菜の料理を上手に取り扱っているレストランに家族揃って出かけて実際に食べて学んでみるなど、野菜嫌いを治すにも様々なやり方があるでしょう。
いずれにしても、無理をしてまで一つのやり方に固執せず、楽しめそうなやり方で楽しんでやってみることです。
この例では日常の一幕として受け取れたでしょうが、その一方で、世の中には意地悪な人、我儘な人、ずるい人などがたくさんいて、残念ながらその相手をしなければならないこともあります。
そのような人達を相手に怒ったり腹を立てたり、「お願いだから話を聞いて」とへりくだってみたってほぼ100%状況は変わりませんし、自分が疲弊するだけです。
だから、こちらも賢く立ち回るために、「なんでそんな奴らのために自分が変わらないといけないんだ」などと頑固に思わずに、変えられるものはさっさと変えるためにもその策や対処法を一つでも多く持っていた方が良いです。
なぜなら、このような人たちに「戦い方が一手しかない」とか「一本槍で機転のきかないバカだ」ということがバレてしまうと、その場だけでなく一生いいように扱われてしまうことになるからです。
仏教ではお釈迦様だって「自分を変えるのがもっとも楽な道だ」と言っているくらいなのですから、ここは強情にならずに、まず手始めに本屋でも図書館でも行ってみて、人間関係に関する本の一冊でも手に取ってみると良いでしょう。
誠実で正直な人ほど、自分から進んで良い人間関係を作り、拡げていった方が良いことは言うまでもありません。
④他人の長所をよく見るようにする
他人の短所ばかり見ている人は、どこへ行っても嫌な人にばかり出会うものです。
一方、他人の長所ばかりを見ている人は、どこへ行ってもいい人にばかり出会うものです。
人間の脳は、目で見て注目しているものを実際よりも大きく捉える性質があると言われています。
例えば、綺麗な満月の様子を実際に目で見たのと写真に撮ったのとを見比べてみると、その大きさの捉え方に著しい違いがあることに気がつく、と言えば伝わりますでしょうか。
人間を見る時も同じ様に、短所に目を向けているとそこばかりが大きく見えて、実際には長所もたくさんあるのにそれが隠れたり見えづらくなってしまうのです。
だから、「自分の周りは嫌な奴らばっかりだ」となってしまうのです。
他にも、例えば「この会社はブラック企業だから転職しよう」と思う人もいれば、「この職場、結構自分に合って好きかも」と思う人もいます。
この場合も、短所や悪いところに目が行くか、長所や良いところに目が行くかで、現実を見る上では大きな違いになります。
少し嫌味を言いますが、そもそも大多数の人は、自分や他人の短所を見つける天才です。
ですから、まずは自分自身が心に余裕を持つようにして、自分や身近な人の長所や良いところを一つでも二つでも良いから意識して探してみる気持ちが大切です。
そうすれば、嫌な上司や先輩も「いざとなれば頼りになる人」だと分かるでしょう。
口の悪いあの野郎も「どんな相手でも状況でも物怖じしない人」だと分かるでしょう。
いつも一本抜けてて鈍間と言われている人も、「誰に対しても明るく笑顔で挨拶してくれる礼儀正しい人」だと分かるでしょう。
もちろん、根拠のないお花畑の妄想を繰り広げるのではなく、人物や物事を冷静に見定められるようになることが大切です。
その上で「あの人にも良いところがあるのだ」と長所をより多く見ていくことができるようになれれば、良い人達に囲まれて暮らせるきっかけも繋がるし、そうした人間関係を自分から築いていきやすくなるということです。
➄他人の良い行動を真似る
誰かを対象としてその動作や行動を真似ることを、心理学ではモデリングと呼びます。
例えば、「世の中で偉業を成し遂げた人達は、歴史上の偉人を参考にしている」など、モデリングをしていることが多く知られています。
伸びる人というのは、上手くいっている人に質問をしたり、見習ったり、その人になりきってみたり、徹底的に参考にしたり真似たりしながら、実際に自分の向き合っている物事に取り組んでいるものです。
他人の考え方やアイデア、コツや解決方法などを学んで真似ることで、より早く自分を成長させられることができるのです。
そうやって今いる集団から頭一つ抜き出たり、実績を多く積み上げたりしているのです。
そう考えれば、物事がうまくいけばいくほど周りの方から人が集まってきますし、新しい人やよりレベルの高い人に会うことになります。
とはいえ、②で登場するような足を引っ張る人達のように、身近な人がより良くなるのを大変嫌がる人もいますから、出来るだけより良いモデリングを、出来るだけ早く堅実に積み上げ、出来るだけちょっとでも遠くに向かって成功を目指すようにすると良いです。
「全てをゼロから自分の力で思いつくことが本当の力」などと考えていると、いつまで経っても動けなくなってしまいますから、他人の良い行動はどんどん真似て自分に取り込んでいきましょう。