目上の相手に意見したり異論を唱える時の作法
ある程度世の中で経験を積んでくると、仕事やある程度公式な場などにおいて、目上の人や権威のある人に接する機会もあることと思います。
その方々に対して「自分の方が明らかに正しい」とか「根拠がある」とか思うことがあっても、相手の話を微塵も受け入れずに直球で相手に自分の論をぶつけにいくのは良くありません。
そういうのは漫画やドラマの中での出来事だと思ったり楽しむようにしておき、現実の世界ではどの業界であっても「和やかに質問したり伝えたりする作法」を身に付けておくと良いでしょう。
例えば、以下は一例ですが、参考になれば幸いです。
以前筆者も若い方から「私はバカなのでよく分からないんですけど」と質問を切り出されたことがあって少し困ってしまった経験ががありましたが、何にしてもキチンとした振る舞い方の手数は先んじて一つでも多く身に付けておくに越したことはありません。
・素人質問で大変恐縮なのですが、
・一つだけ質問させて頂いてよろしいでしょうか。
・先生のご意見とは多少異なる見解をお許し頂ければと存じますが、
・私はこの領域については暗いので、この機会にお教え願いたいのですが、
・畑違いの意見かもしれませんが、理解を深めたいのでお教え願いたいのですが、
・最近の進歩を十分に捉え切れていない可能性もあるので恐縮ですが、
・この分野で第一人者の先生に大変失礼とは存じますが、
・一〇〇(担当者、研究者など)の経験で根拠に乏しいのですが、
そうしてやり取りをした結果、自分と異なる回答が目上の方からあったとしても、「相手の方も事実や理論や研究結果や経験に沿った上で、感情と切り分けて答えてくれた」とか、「論を組み立てたり理解を進める上で、自分側に抜け落ちてしまっている部分があった」など、意外なところで自分にとって新たな気づきを得たり、その先生や権威の人と自分との頭脳や経験の差に気付かされたりします。
当然、相手の方だって、可能な限り正当に結論を出したり解明したりするために、辿るべき過程や押さえるべき点を踏まえた上で、その人なりの論を導き出しているのです。
また、そのやり取りを見ている、或いは、見てきたりその相手の方を支えてきた他の方々もいることでしょう。
さらに言えば、今まさにあなたとその相手の方とのやり取りを、周りで見て聞いている人だっているのです。
こうした作法は、誰に教わるでなく、見習ったり周りをよく見て自分も学んで身に付ける必要があります。
当然、世の中で共通のものや、その業界では特徴的なものなどがあります。
上記の例のように大体共通しているものなら書籍などからも勉強できそうですし、業界特有のものならそういう人達が集まる場に積極的に顔を出していかないといけません。
そういう大切なものを身に付けたり、型や成り立ちを弁えないまま、まして「(ある一時点の)実力や実績がすべて」とか「上手下手や流行り廃りのみで他人を判断している」というような鼻っ柱の強い人は、その場では「さすが若くて勢いがあってスゴイね」と賑やかなムードで終えられるのでしょうが、後になってほぼ間違いなく、様々な場面で様々な機会の損失につながる結果となります。