①聞き心地の良い言葉を使う
耳から入った言葉は、一般的にはそれに対応する感情や感覚や情景などによって自動的に変換されます。
また、この変換を理性でブロックするのは難しいとも言われています。
例えば、「みかん」という単語を聞いても、普通は「みかんとはどんな意味なのか」とは考えないのに、刃物でざっくり指を切って怪我をした話を人から聞いたら、自分の指がそうなったわけでもないのに顔をしかめたり鳥肌が立ったりしてしまうことが挙げられるでしょう。
その他にも、次のような言葉を聞いたら何らかの変換が行われていることでしょう。
・青空 → 心地よい、爽やか、晴れた日に雲一つない広い青空、など。
・親切 → 嬉しい、有難い、優しい人、道を聞かれて教えてあげた、など。
・苛立ち → 腹が立つ、思い通りにならない、遅刻で何時間も待たされる、など。
・憂鬱 → 天気や心の曇り、苦手なことをする、また今日も嫌な人と会う、など。
対処の一歩目としては、ブログでもメールでも、何かの原稿や報告書でも、自分が普段からどれくらいの心地良い言葉や不快な言葉を使っているのかを数えてみると良いです。
すると、数えた結果出てきた数字は、周囲の人があなたから感じている心地良さや不快さをそのままのかたちで表しているのだと分かるでしょう。
そうなれば、後はやるべきことは簡単です。
普段から、不快な言葉を使う数を減らして心地よい言葉を使う数を増やすようにしていけば良いのです。
心地良い言葉を多く使えるようになれるほど、相手にも良い印象を与えることに繋がっていきます。
②「どう話すか」を考えて話す
コミュニケーションをした時の印象では「どう話すか」が重要であり、「何を話すか」ではありません。
そこを改善するだけで、話の内容にかかわらず相手に良い印象を与えやすくできます。
具体的には次の2つを意識してみることです。
(1) ポジティブな話をする時は心地良い言葉を肯定形で使う
(2) ネガティブな話をする時は心地良い言葉を否定形で使う
また、「~ない、~しない」を「~ある、~する」に変えたり、後ろ向きな表現を前向きに変えるように言い換えをしてみると、言い換えた後の方が相手の不快感を刺激しないでしょう。
例えば、
・今日は寒くない → 今日は暖かい
・部屋が汚れている → 部屋が片付いていない
・寝坊しない → 10分早く起きる
・質問はないですか → 質問はありますか
・初心者は受け付けない → 経験者のみ受け付ける
・いらない → お気持ちだけいただきます
これも①と同様に、今の自分が使っている表現の仕方を改善させたり、簡単なところで言えばコミュニケーションの本やマナーの本などから取り入れていくこともできるでしょう。
③相手の優先している感覚に合わせて話す
人は、目、耳、鼻、口、体の感覚を通して現実を認識しており、それを基に、見て、聞いて、嗅いで、味わって、感じているものです。
相手とコミュニケーションをとる時でも、その相手が「どのような感覚を優先的に捉える人なのか」を知っておいたり、やり取りをしながら探っていくと良いでしょう。
通常、人の持つ5つの感覚というものは、そのすべてを平等に均等に使っているわけではなく、中には必ず得意・不得意や、優劣などが生まれているものです。
また、好きでよく使っている感覚もあれば、あまり使わない感覚もあるでしょう。
心理学では、このように自分が特に好き好んで使っている感覚を「優先感覚」と呼ぶそうです。
この優先感覚が、スムーズなやり取りや、話の受け止め方や、受け答えの仕方に影響するため、優先感覚が同じ人同士は話が合うことが多く、異なる人とは話が合わないことが多くなります。
例えば、視覚優先の友人が新しく買った車を褒める時であれば、次のようにしてみると良いでしょう。
・エンジンの音が静かで良いですね → 車体の色がすごく綺麗ですね
その方が、相手にとってより受け止めやすくなるし、自分の感覚により近い部分を突いてあげることもできるのでより喜んでもらえることでしょう。
コミュニケーションを取ったり人間関係を構築していく上で、相手の優先感覚を見極めてそれに合わせてあげることができれば、「会話のすれ違いになる可能性を低く抑える」ことにも繋がるし、「上手に同意を得て良い関係に発展させる」ことにも繋げやすくなります。