大したことのない話を面白くする技術は、コミュニケーション力、スピーチ力、文脈力といったものを伸ばしていくと身につきやすくなります。
そもそも「声に出して表現する」ことに加えて、話の構成を作る力、話を展開させていく力、人の心に印象付ける力が必要だからです。
また、話し手の個性や印象、例えば性格の明るさや雰囲気や口調などは、話す以前の前提として誰もが持っているものですが、大したことのない話が面白くなっていく過程では、その個性がトランプで言うジョーカーのような存在になったりすることもあります。
自分の持ち札のジョーカーをどう使ったか、どこのタイミングで切ったか。
或いは別の誰かが、「この状況で、ここでジョーカーを切ったから、こんな結末になりました。」ということが分かると、ただの話でもより面白く伝わりやすくなることでしょう。
例えば、
・自分に切る
どんな状況でも今日1日、自分は明るく過ごすと決めている、など。
→ 話を面白く伝えたいと考えるならば、少し弱いかもしれません。
・相手に切る
落ち込んでいる人、悩んでいる人を励ましたり、勇気づけたりする、など。
→ 話を面白く伝えたいと考えるならば、これも少し弱いでしょう。
・場に切る
気持ちが暗かったり緊張している場面で、明るくて空気の読めない人が突然入ってきた、など。
→ これはかなり強く、話の展開部分としても応用できるでしょう。
この際、その場にジョーカーを切ったのは「入ってきた人」になります。
念のためですが、架空の設定や嘘などで話を盛って伝える方法ということではありません。
さて、そこからどのように話として構成していくかという方法ですが、次はその一例として参考にできるかと思います。
①エピソードトークにする
(1) どのような状況で
(2) どのような出来事があったか
(3) そこで得られた気付き、秘策などを入れ込む
(3)は聞き手にとって、持って帰れるもの、プレゼントになるものです。
つまり「いい話を聞いた」という結果につながるもの、ということになります。
(1), (2)だけだとただのお喋りになってしまうことでしょう。
②その場面の「画(え)」が浮かぶように話す
・いつ
・どんな場所で
・どんな人が
例えば、「先週の日曜日の午後、家の近くのコンビニで、元気な男の子がいて」などと聞き手の頭の中に映像が浮かぶように少しでも詳細を話す、ということです。
詳しくし過ぎると話がくどくなってしまうので、慣れやバランスが必要です。
③セリフを5~7割入れる
・会話(セリフ回しのこと)
・自分の心の声、頭の中のセリフ(考えたことをセリフにする)
ちなみに②と③は、特に①-(2)の「出来事」の話をする時に使うとより有効です。
ただし、「セリフ」は、言葉のやり取りや心の声やツッコミを入れる以外にも、そのエピソードが進行していく中で自分がどのような心境だったかを伝えやすくすることもできるので、使えるところには使った方が良いでしょう。
また、このようにエピソードトークで話を進めていく上での欠点は、「話が長くなりやすい」ことです。
話をした結果面白ければ良いのですが、面白くないと「話が長い」と言われてしまうことにもなります。
「面白い」と言われるようにしていくことは、時には長い話を短くするという対処よりも大切なことですが、ただ実際のところ、話が長いままでも面白い話は面白いものなので、どこに重点を置いて話を伝えていくかがブレないようにしていくと良いでしょう(今回は「面白さ」に重点を置いています)。