近年では、「人間の脳にはマルチタスクは難しい」いう話を見聞きすることが多くなったように感じます。
その理由としては、「並列作業は脳を切り替えるための時間がかかるし疲れやすいため、人間の脳には向いていないから」ということだそうです。
マルチタスクで様々な仕事をバリバリと捌き、プライベートも充実させる神懸った人材を目指すというのは、今は昔の話となってしまったかのようです。
それでは、シングルタスクとして効率よく作業を進めたり、作業スピードを改善するためにはどうすれば良いかというと、ToDoリスト(タスクリスト)を自分のペースメーカーとして使うのが良いです。
その日にやるべきことを朝一番で書き出し、1日の流れを決めるのです。
①1項目を15分程度で済むタスクとして、かつ確実に実行できるように書き出す。
・何時間もかかることは、進捗がわかるように項目ごとに小分けにする。
・文字にしたら一行で済むような作業でも、実際には何工程も何時間もかかることがある。
・それらも一つ一つの作業として分解し、順番を決めていく。
②優先順位、作業する時間帯などをつけて割り振る。
・必ずその日のうちに終えなければならないものを優先する。
・苦手や気の進まないタスクは、朝に活力のあるうちに片づけるのが最短かつ定石。
・迷ったものでもできるだけ先延ばしにしないこと。
③余計なことを考えずに集中して一項目目から一つずつこなしていく。
・今日取りかかるべき作業に集中し、あれもこれもやろうとしない。
・作業場所や机の上には関係のないものを置かないようにする。
・作業に集中できるように、いつも綺麗に片付けておく。
④リストを確認する時
・終わったらその項目は線で消し、次の項目に取り掛かる。
・達成したもの → 削除
・やっぱり不要だと感じたもの → 削除
・残っている作業
(1)単純作業 → その場で処理
(2)考える作業
・自分が主導権を持つもの → 優先
・他人に影響を与えるもの → 優先
・人に頼むもの → 頼む
基本的な動きとしては、
・調子の良い時はたくさんやる
・調子の悪い時はできる範囲でやるようにする
・例えば今日やること10個のうち3個残ったら明日に回すようにする
注意点として、
・頭の中だけで漠然としたイメージのままタスクや段取りを組まない。
→ 後から発生したToDoに気づく度にやるべきことが増えて振り回されてしまう。
まず一つずつコントロールできるようにすること。
・済んだ作業は必ず線を引いて消す。
→ 全体の状況を把握することができる。
その他、最初はその日のうちに終えられるToDoばかりでしょうが、日を重ねるごとに言葉も内容も洗練されてくることでしょう。
そのレベルに合わせて、例えば以下のようにカスタマイズできることはいくつもあります。
・可能な限り詳しい言葉や、数字や数値として表す
・一連の流れとして、一まとまりにできる作業はまとめる
・一連の流れの中の項目で、一番最初に何をしなければならないか(初動)を決める
・何日かかかる作業なら、終える期日を決める
そして、自分を上手にコントロールするとか律するという考え方は、一見当たり前であり大変重要なことなのですが、
①まずそれが言葉になっていて、
②どのような行動と手順が必要かが分かっていて、
③いつでも全体が見えるようにしておく。
ということがなされていないと、自分のやる気や意気込みだけではどうすることもできないことばかりになってしまうのです。
なお、まったく新しいことをする場合は、②は予測のもとに手探りで何度も繰り返しながら進むこともあります。
その他にも、脳のワーキングメモリという作業領域が広く使える人もいて、そういう人は二つ三つの作業ぐらいなら簡単に平行作業でこなしてしまうそうです。
しかし、割合としてはそれほど多くはないそうですので、ここでは普通の人でもできるシングルタスクの効率向上について記しています。
仕事やこれからやるべきことがたくさん溜まっているのであれば、取り掛かる作業とその優先順位を決めたら、脇目も振らずに一点集中の力を持って取り組んでいく方がよいでしょう。