傷つきたくないという気持ちへの対処法


①傷つくことは良いことだと考える
 新しいことに挑戦しようとしても、「失敗したり傷つきたくない」という人は多いものですが、傷ついた方が良いこともあります。
 言葉というのは 言い換えができますから、何でもネガティブなことをポジティブに言い換えてみると良いでしょう。
 例えば、「社交性がない」は「一人の時に集中力を発揮できる」と言い換えることもできるでしょう。

 また、「傷つく」ということはメンタルのトレーニングをしているということでもあり、傷つけば傷つくほどメンタルが鍛えられることにもなるのです。
 まあ、傷ついた瞬間というのはそれなりに落ち込んだりしますが。
 ともあれ、心の耐久性と言うかしなやかさと言うか、そうしたものが身につき、次に同じようなことが起こっても動じずに対処できたり、前回よりも傷つかなかったりできるわけです。

 それは一般的には「メンタルが強くなる」と表現されることが多いのですが、本質的に言えば強い弱いではなく「ストレスが来た時の身のこなしができるようになる」というわけです。
 例えば、武道や格闘技などで言えば、防ぎ方や体捌きなどを覚えて適切に対処するようなイメージに近いでしょう。
 それを、すべての攻撃を真正面から受け止めて、体力や防御力だけを頼りにして持ちこたえなければならないのであれば、身が持たないですよね。

 何かに失敗したり、落ち込む体験というのは誰にでもあることです。
 そこから立ち直るということは、失敗の体験よりも何倍もの価値があることでしょう。
 失敗したこと自体は仕方のないことですが、そこから立ち直ったり、乗り越えたり、元の状態に復帰できたことには素晴らしい価値があるのです。

 そうした価値というのは、失敗したり傷ついたりしないと体験できないことでもあるのです。
 多くの人はそこに気付かず、傷ついた瞬間にだけ注目して落ち込んでしまいます。
 そうでなく、そこから立ち上がることが、心の強さや逞しさをはじめ、いちいち落ち込まない柔軟さや、うまく受け流すしなやかさや、悲しい出来事や辛い出来事をバネとして変換できる力などが身につくきっかけにもなるのですから、何歳になっても傷つくことを恐れずに挑戦していくと良いでしょう。

 

②傷つくことは成長のチャンスだと考える
 物事がうまくいかなければ誰だって傷つきます。
 しかし、その「うまくいっていない部分」が現在のあなたの限界ラインであったり、弱点、短所、欠点だとわかる瞬間でもあります。
 失敗したり挫折したりして自分の弱さや至らなさが明らかになるから、その瞬間に傷つくのです。

 これは逆に捉えれば、自分の弱さに注目して何とかできる大きなチャンスでもあります。
 多くの人は、自分がなぜうまくいかないのかという理由に気付かず、「なんで自分はダメなんだ」と嘆いたり腹を立てたりして、やがてそのことも忘れて収束していくばかりなので、「自分の弱い部分やできていない部分」を自分で分析して詳細に説明できる人などいないのです。
 もしそこまでできれば、後は自分で言ったその「できていない部分」を改善していけばいいだけなのですから。

 なぜか人生がうまくいかない人や、毎日が楽しくないとか辛いという人は、自己分析が上手にできていないことが原因なのかもしれません。
 「自分が最も改善すべき点や向き合う点」が分からないから辛いのです。
 傷ついたり挫折した時こそ、そこへの向き合い方や乗り越えるべき課題も見えてくるし、自分の弱い箇所を何とかできるチャンスになると捉えた方が良いのです。

 

③立ち直ることができれば傷ついても良いと考える
 ほとんどの人は「傷つきたくない」ということをそもそもの前提として生きているのではないでしょうか。
 だから傷つくと、「自分はダメなんだ」と言って自分で自分を責めて落ち込んでいくのです。

 「失敗したら嫌だ」と思って実際に失敗してしまうと、その失敗のストレス自体は小さなものなのに、自分で自分を責めることで大きくしていき、やがてそれがはじけて爆発することになります。
 「傷つくのも失敗するのも挫折するのも嫌だ」と言って自分で「問題」として設定しているので、実際に起こった時のダメージが何倍も大きいのです。

 もし、「失敗してもいい」、「何回か失敗するくらい当たり前のこと」と思ってやっていれば、それほど大きなダメージは受けないでしょう。
 もちろん、物事を軽率に行うというわけではありませんし、失敗したらそれなりに残念だし悔しいと思うでしょう。
 傷ついたり挫折して落ち込んだ状態が何年も続くと困りますが、それよりも、1週間や1か月くらい落ち込んでいたとしても、その後に元気を取り戻してまた立ち直って挑戦できるようになるのならそっちの方が良いということです。

 「心が傷つくのが嫌だ」と最初に設定して決め打ちしてしまうのは、あまり良い結果をもたらしません。
 先ほども述べましたが、傷ついても、失敗しても、挫折しても、そこから立ち直ることの方が何倍も価値のあることなのです。

 また、「自己治癒」といって、傷ついた自分の心を自分で癒す力を養うチャンスでもあります。
 傷ついたことが一度もない人は、自分で自分を治癒するということができないのです。
 だからこそ、傷ついても立ち直る経験を何度もしておくことはとても良いことと言えるし、2~3回心が多少傷つく体験をするだけでも十分すぎるほどの成長に繋がるのです。

 「積極的に」と言ったら少し変な言い方かもしれませんが、「明らかに成功が約束されていること」ばかりをやるのでなく、心が傷つく、失敗する、挫折するという恐れのあるようなことにも挑んでいき、うまくいかなければ何とかして乗り越えるという体験をしておくと良いでしょう。