逆境を乗り越えるために気を付けておくべきこと


 たとえ小さなことであっても新しい挑戦をしていれば、誰でも逆境を経験することがあるでしょう。
 逆境は決して心地の良いものではないかもしれませんが、こうしたことはある意味試練と捉えることもできます。
 その中にいる間、上手に耐えて学習し続けたり、機を狙ってうまくやり遂げたりすることもできるのですから、結果として成長や成否の分かれ目ともなります。

 

①一旦受け入れて、今までの自分を振り返る材料とする
 「逆境だ」と感じたらそれを一旦受け入れて認識し、正攻法もそれ以外の方法も探ってみてり、有力そうな手から粘り強く当たっていくことです。
 そこで現実逃避をしたり、「楽な道がきっとどこかにあるはずだ」と探すことに終始することは良くありません。
 法律やルールに違反したり、周囲の失望を買うことなどおかまいなしに行動することはよくありませんが、「王道だけが正義である」と思い込めば、それもまた自分自身の持つ個性や才能などを見逃してしまうことにもなりかねません。

 逆境をただじっと耐えてやり過ごすだけでなく、自分を見つめ直し、新たに自分を磨いていくための勉強に時間を投資することが基本となることでしょう。
 これを機に身のない遊びから離れ、テレビの娯楽番組などは本当に必要なものだけに時間を決めて視聴することでまずは時間の浪費を減らし、自分が本来向き合うべきことに集中する時期と切り替えた方が良いでしょう。
 そして、悪い事や嫌なことなどネガティブな思いばかり巡らせず、今日やったこと、良かったことなどを必ず記録として書き残し、事あるごとに読み返していくことです。

 

②自分がコントロールできることとできないことに切り分けて整理する
 逆境の中にいる間は、「今まで通りだと打開できないかも」とつい特別なことをしたくなりがちです。
 そして、なかなか前に進めずもがき苦しむことになります。
 しかし、それは誰でも経験することですから、あまり不安になり過ぎても仕方のないことです。

 結局のところは、目の前のことを一つずつやっていくしかなく、本来やるべきことは変わらないのです。
ただし、自分がコントロールできることとできないことに切り分けて整理しておくことが大切です。
 「何とかしなきゃ」と強く思っても、頑張って作業量を上げても、自分でコントロールできないことにばかり時間を費やしていたら、それこそ時間の無駄です。 

 例えば、「他人の気持ちや考え」や、「上司の判断が必要なこと」や、「社会や世の中の流れ」などは自分がコントロールできることではありません。
 それよりも、今日できること且つ逆境を乗り越えるために関連している(してそうな)ことから対処することです(もちろん他人の助けが必要な状況もありますが)。
 何か行動をしていれば毎日様々なことが起きますが、外的な要因に振り回されることなく自分のできる範囲でやれることから冷静に対処していくと良いでしょう。

 

③怒り・苛立ち・焦りなどで我を失わない
 決して「怒るな」と言うわけでなく、可能な限り自分で自分の感情をコントロールするということです。
 例えば、「うまくいっていないことに腹を立てて、誰かの責任にしないこと」が一例として挙げられるでしょう。
 自分の機嫌を自分でとれるようになるために、呼吸法でも、書き出すでも、瞑想でも、調べられることは調べてみて、ネガティブな感情を抑えたり、リラックスしたり、嫌な気持ちを逸らしたり軽減させる方法を実践してみることです。

 「怒りをコントロールできない」というのは、能力や才能や人柄などを使って今まで積み上げてきたものを、一遍に帳消しにしてしまうほど致命的な欠点になります。
 人は、「この人は怒りで我を失う」と分かればその人に信頼を寄せなくなりますし、また、信頼してもらえなければ仕事もその他の人間関係もなくなってしまうことになります。

 また、怒りだけでなく苛立ち・焦りなども同様に気を付けることです。
 それに呑み込まれてしまえば膨大な時間を無駄にして、後になってから「振り返ってみたらそのほとんどが空白の時間だった」ということにもなりかねません。
 さらに、マイナスな感情をもしも誰かに当たり散らしたりなすり付けたりするようなことがあれば、これもまた後々後悔して、その上それを思い起こす時間もまた膨大に使ってしまうことになります。

 

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 人生が逆境ばかりであったらさすがに気が滅入ってしまいますが、「物事は考えよう」という言葉があるように、視点を変えればこれまで自分が身につけてきた技術や精神をあらためて知り、さらに鍛え直す絶好の機会ともなり得ます。

 また、逆境を積極的に活用して、それをきっかけにその分野で大きく飛躍することもできます。
 例えば、次のように流れを作って考えて見ると良いでしょう。

 (1) 過去に自分に起こった逆境と思う物を三つ挙げてみる
 (2) そのことから現在の自分がどんな恩恵を受けているか洗い出してみる
 (3) その他にも良い経験や活かすべき経験として記憶に残っているもの振り返ってみる
 (4) 今後どのようにしていくかの作戦を立ててみる

 現在陥っている状況が直ちにすべて解消されるかどうかは分かりませんが、こうすることで逆境であってもその利点を見つける方法や習慣を身につけておけば、せめて逆境そのものに対する嫌な気持ちや恐怖心は軽減できるようになっていきます。