不安な状態から気持ちを切り替えるには、自分と同じように不安を持つ人と話すことである。
悩んだり、苦しんだり、辛い思いをしている人というのは、結構いるものだ。
しかし、自分から人と会ってそういう話をしようと思う人は少ないように思える。
とりあえずは、親しい人にざっくばらんに話してみるとか、ちょっと打ち明けてみようという気持ちで「ちょっとこんな話をしてみてもよいかな」くらいの切り出しでもよいので、そうした機会を自分から作ってみるとよい。
よほど特殊で深刻な悩みというなら話は別だし、相手に気を遣って離せないという気持ちも分かる。
しかし、一般的な悩みごとなんて大体みんな同じようなことが多いので、「あー、自分もそう思ってた」とか、「それ、よくあるよね」などと共感も得やすいだろう。
結局、ただ誰にも相談しないで「自分だけが悩んでいる」という状態に陥って溜め込んでいるから、不安や孤独感などのプレッシャーを感じてしまっているということもあるのだ。
いざ話してみれば、「そんな小さいことで悩んでいたの?」と思われてしまうかもしれない。
また、自分の頭の中でモヤモヤを増幅していただけで、実際に言葉にしてまとめて他人に話してみたら、簡潔にまとまりすぎて悩みでなくなってしまうということもあるかもしれない。
悩みを話す、特に、同じような悩みを持っている他人と話すということは、そうするだけでも不安感や孤独感が瞬間的に癒されるものである。
人と話すことだけでも、「少しほっとする」とか、「リラックスできる」という状態になる。
別に2時間も3時間も議論するわけではなく、5分10分話すくらいでよいし、それだけでも気持ちが楽になることも多いのだから、相手の都合さえ合えば一人で悩み苦しむよりはやってみた方がよいだろう。
自分の悩みや苦しみを他人に打ち明けることは、「自己開示」をするとも言える。
他の人には話せないことを、自分の信頼できる人に打ち明けてみるということである。
最初は、「最近ちょっと大変だよね」とか、「ちょっと悩んでることがあるんだけど」と切り出すのは、簡単な言葉でも勇気がいるかもしれない。
しかし、その勇気をなんとか少しだけでも出して、親しい友人などに言ってみる。
それだけで、少し気持ちは楽になることが多い。
「相談できる友達なんかいない」と思うかもしれないが、悩み事や不安な事くらい誰でも抱えているものである。
もし断られたりマウントを取られてしまうようなら、親しいと思っていたその人との人間関係を見つめ直してみればよいし、その反対に、相手の方から悩みや弱音を打ち明けられたら、あなたが他の人よりも信頼されているということにもなるだろう。
傷を舐め合う関係になるのは良くないが、悩みをお互いに話せる関係というのは決して悪いものではないし、そうしたことを話し合えるからこそ、話すからこそ、人間関係もその親密度もより深まっていくのである。
さらに、「打ち明けることで自分の気持ちが楽になったり癒される」と思うだけでなく、「相手にも同じことをしてあげている」と思えるようになれば、コミュニケーションの取り方も今までとはまた変わってくるだろう。
先にも少し述べたが、他人の悩み事を聞くのが嫌な人もいるから、断られてしまうこともあるかもしれないが、そうでない人だっているので、何事も経験である。
たった一人で悩んで孤独や不安に押し潰されてしまうよりは、是非とも勇気を持って自分からコミュニケーションを取っていった方がよいだろう。