自分の利益のことも必ず考えて行動するということ


 人のために何かをしたり施したりすることは確かに素晴らしいことですが、そこで自分の幸せや利益を得ることも行うことを忘れてはなりません。
 「自分だけが我慢をすれば物事は丸く収まるのではないか」とか、「自分に接してくれた人が良い思いをするのならそれでOK」などと思うのは自由ですが、それを誰にでも無条件に優先させないことです。

 人は誰であっても、自分の利益の為に動く必要があります。
 他人のために何かをしてあげるのもよいですが、特に社会に出たら自分自身の力で立ち、まずは今まで世話してくれた家族やごく近い周囲のために振る舞えるようになることです。

 自立するためには、「自分の取り分」というものを得なければ成立しません。
 より良い関係を築くにも商売をするにも、自分があり相手があってこそできることだからです。
 お互いにそうやって活動していき余裕を持てるようになってきたら、その後で初めて、今よりももう少しだけ遠くにいる人達に「もっと何かをできないか」と考えるのが普通なのです。

 始めのうちは、「自分がどうやって生きていくか」とか、「何で生計を立てるか」とか、「どんな分野で働き立ち回っていくか」とか、「どのように自分を大切にするか」など、こうした考えがあった上でより自分に近い周囲の人から人間関係を拡げていくものですので、まずは自分のことから中心に専念していかなければなりません。

 こういうことを考えておかずに大人になって学校を卒業して自動的に世の中に出てしまい、他人のことばかり優先して自分は我慢してばかりいると、当然その間に「自分のことを大切に扱って計画して生きてきた他人」においしい所を全部持っていかれてしまうのです。
 他人のために無条件に何でもできる人は確かに素晴らしいのですが、そうなる前に「自分のことは自分でどのくらい出来ますか」と振り返ることもまた大切なのです。

 

 無策無防備のまま自分を犠牲にして、何にも気を回さずに何にも想定せずに他人の利益や幸せを優先させていると、自分の取り分は一生回ってきません。
 なぜなら、他人だって普通のまともな人なら自分の幸せや利益になることを考え、相手のことについても考え、できることを一つ一つ地道に積み上げていたり一生懸命やりながら生きているからです。

 ですから、自分も遠慮せずに、「自分はどのように生きるのか」、「どんな目的や方向性を持つのか」、「自分の幸せの為に何ができるのか」、「どんな戦略や段取りでいくのか」ということを考えて、自分のために行動していく事を忘れずに「先に」やることです。
 変化を恐れて縮こまってばかりいる場合ではないのです。

 自分の幸せや利益や取り分を優先する事は、決して悪いことでも我儘でもなく、当たり前のことです。
 もちろん、自分だけが得するために他人から必要以上に巻き上げろと言っているのではなく、お互いに得になる行動を共にやったのなら、当然自分の取り分があります。
 その自分の取り分を堂々と受け取れ、自分の取り分を受け取る前に無条件に他人に差し出すな、騙し取られるな、ということを言っています。

 

 さて、何事においても失敗や反対を恐れずに、計画し、段取りし、行動に起こし、主張すべきことはきちんとして、物事を実現させていきたいものです。
 まずは自分で自分を何とかできるよう、一人で立たなければなりません。

 また、先に述べた他人のことについて、「世の中は酷い人ばかりだ」と受け取れそうな表現もあったかもしれませんが、世の中には、他人から何でもかんでも吸い上げて自分の手柄にしまうような、ずる賢くて心のさもしい人ばかりではありません。
 自分の足で一人で立ち、自分の利益も相手の利益もしっかりと配慮でき、段取りし、行動し、成果を出し、適切に分け与え、良い縁を広げ続けている人というのは必ずいるし、実際かなりいるものです。
 
 ですから、特に組織の力に頼らずに自力で稼ぐ仕事であれば、「こんなことでお金を得ていいのか」とか、「自分はいいからあなたが先」とか、「〇〇したら申し訳ない」とか、何だかよく分からないものに対して心配をして自分を後回しにしないことです。

 だって、会社員や公務員のままでずっといる人は気付かないでしょうが、自分の力で何かを生み出して稼ぎを得ることに腰が引けてたら、どうやって活動を継続し、どうやって食べ繋ぎ、どうやって税金を納めるつもりなのでしょうか。
 自分の行動が正当なのであれば、帳簿付けの時に後悔しませんか?
 確定申告の時に一年を思い返して恥ずかしくないですか?

 繰り返しになりますが、自分の幸せや利益になることもしっかり行うことを、忘れてはいけません。
 ここでは仕事と稼ぎの話が少し多かったかもしれませんが、その例に限らず「この人たちにこの活動をしたら良い心持ちになれる」とか「より深い親密な関係を築ける」といった精神面の対価でも同じことが言えるでしょうから、自分ばかりが擦り減る選択をしないことです。

 相手を立てることができる人は素晴らしいです。
 しかし、それに加えて自分の活動に対する取り分のことをきちんと考え、お金に限らず正当な対価は堂々と手にし、相手のことも考えて共に反映していくことができる人の方がもっと素晴らしいのではないかと思います。
 ただ、何よりもまずは、自分自身を自分の足でしっかり立たせることが大切です。