焦る気持ちへの対処法


 「あれもこれもやらなきゃ」ということが重なると、パニックになってしまって結局できないので、基本的には焦ってもいいことはありません。
 焦れば焦るほど、さらに不安が不安を呼んでしまい、脳の「ワーキングメモリ」と呼ばれる作業領域が狭まって効率が下がってしまうことは、脳や科学の分野などでも広く言われています。
 本来100の力を持つ人が100の力で普通にやっていれば終わることが、焦れば焦るほど80や50しか出なくなって、本当に終わらなくなり脳にも精神的にも悪影響を及ぼしてしまう、ということになるのです。

 焦ると、脳では扁桃体が興奮してノルアドレナリンという物質が出ると言われます。
 本来は「やらなきゃ」と思うための良い物質にもなりますが、過剰に出てしまうと当然制御ができなくなってしまうため、結果としてパフォーマンスは下がってしまうのです。
 ですから、まずは「焦れば焦るほどパフォーマンスは下がる」という脳の仕組みがあることを知っておくことです。

 もし焦ってしまった時は「焦ってるということは、パフォーマンスが半分くらいになってしまうなぁ」と思うようにすれば、焦らない方が良いことを思い出し、気持ちを切り替えられます。
 他にも、扁桃体の興奮を抑えるために少し休憩を入れて時間を空けたり、散歩や軽い運動などを挟むと良いと言われます。

 

 人は、基本的にはやれることをやれる範囲でやっていくしかありません。
 今100の力があるとして、頑張って無理をしたら150の力が出るかと言うと、出ないのです。
 ですから、大変な時ほどToDoリストを書き出すようにして、重要なことやすぐに終わることなどを、順番を決めながら一つ一つこなしていくしかありません。

 明らかに無理な達成できない目標を立てたり、曖昧な目標を立てたりして自分に圧力をかけてしまうと、実力以上の結果を無理して出そうとした結果パフォーマンスを下げてしまい、余計に悪い結果を引き出してしまうことになるのです。
 今の実力に納得していなくても、マイペースでも何でもきちんとやり切って終えなければ仕方ないのです。
 マイペースで、できるところまで、コツコツと進めていくようにすることが、結局は最も早く終わる可能性が高まるのです。

 念のためですが、ここで言っているマイペースとは「他人よりも圧倒的に遅くて要領が悪くて迷惑をかけているのに自分のペースで進める」という意味ではありません。
 「今の自分の力量で、やるべきことについて自分で考えて、計画を立てて、行動に移して、きっちり終えるところまでにかかる時間」という意味でのマイペースというものを、理屈を知った上でやり切る癖をつけるということです。
 仕事がたくさんある時でも、やるべきことをリストとして書き出して、段取りをつけて、いつでも自分のペースでできるように練習することで初めて、焦りから解放されるようになると言えるでしょう。