1. やり返すことにあたって
心理学では、叩かれたらたたき返すことは、「tit for tat戦略」と言うそうだ。
日本語で言うと、しっぺ返しである。
自分からは裏切らないことが前提であるが、一度相手に裏切られたら、次は自分も一度だけ裏切り返す。
一度だけやり返して、それ以上はやり返さないことが、リスク最小の反撃方法の基本である。
過剰に反撃せず、相手にもそれ以上踏み込ませず、上手に世の中を渡っていきたいものである。
2. そもそも反撃しなければならない状況を回避するためにできること
極力相手を調子に乗せないこと。
攻撃されても動揺しないこと。
最もやってはいけないことは、動揺を悟らせることである。
なぜなら相手は、そんなあなたの反応を見たくてやっているからである。
不快なことを言われて動揺する一番の理由は、
あなた自身が、相手の発言を真実として受け入れているからに他ならない。
あなた自身は決して望んでいるわけではないのに、心のどこかで相手の発言を認めてしまう。
そして、動揺し、傷つけられ、おまけに相手の意のままに振る舞うことになるのだ。
そんな悪循環から抜け出すには、相手の言葉を鵜呑みにするのを、今日限りやめること。
「それは、あなたの主観でしょう?」
と言って突っ撥ねるのだ。
丁寧な人間であることは忘れてはならない。
笑顔でいることも忘れてはならない。
しかし、だからといって、気弱で与(くみ)しやすい人間だと侮られてはならない。
気の許せない相手には、作り笑いはしないこと。
作り笑いは、自分にとって大きな問題と直面するのを恐れていたり、
自分と向き合うのを恐れていたりするときに起こるものである。
笑顔でいると与しやすいと思われ、相手は自分に都合のいい不公平な提案ばかりを申し出てくるものである。
こういう時に何も抵抗しないでいると、周りに魅力的に思われなくなってしまうのだ。
相手から、理不尽なことや、おかしなことをされたら、
①相手の言葉を鵜呑みにしないこと。
②動揺を見せないこと。
③作り笑いをしないこと。
④何か抵抗すること。
その者は、「申し訳ないんだけど」とか、「あなたなら分かっていると思っているから言うんだけど」などと、
発言の頭に前置きさえすれば、人を人とは思わないようなことを言ってもやってもいいと思っている。
あなたにだったら何をしてもいいと思って、あなたが丁寧に積み上げてきたものを、
自分のものとしてそっくりそのまま奪うために、何のためらいもなく近づいてくるのだ。
そういう人間だって、中にはいるのだということを忘れてはならない。
その者と向き合った時には、然るべき対応を徹底しなければならない。
あの人を侮ったら痛い目に合うと、確実に思わせなければならない。
自分の人生に大きな傷跡を作ってからでは遅いのである。
3. 具体的な方法
①ヤクザの理論
いかに自分達に落ち度があったとしても、全面的に相手の言い分を認めることはしない。
「この分は認めるけど、それは聞き捨てならない。○○ともとれるが、そうとっていいのでしょうか?」
と、一つの言葉尻をとらえて、ガンガン攻め立てるのだ。
②味方を作っておく
子供が親を選べないように、人間関係でも相手を選べない状況がある。
しかし、どうしても許せない相手や、全体に悪影響を与えている人間がいるとしたら、
その時に最も効果的な手段は「相手を孤立させる」ことである。
だから、日頃から良い人間関係を作っておき、自分が孤立することのないようにしておくこと。
③論点をずらして受け流す
仕事上では、積極的な肯定や否定のみでは、事態を悪化させるばかりである。
自分にも相手にも時間は限りがあるし、雇用側は小競り合いなど望んでいない。
真っ向勝負のやり取りだけでなく、話の結論に上手に導いてあげることも大切である。
(1)ペンなどを落として気をそらせる。
その後にこちらが話すなどして、徐々に主導権を取っていく。
(2)とにかく質問をする(聞けそうな話であれば)
まずは相手が話したら、「そうですね」「なるほど」と受け入れることが大切。
質問すること自体は、基本的に「相手の話しが聞きたい」という意志につながる。
だから、それを聞いてイヤになる人はいないので、これによって、主導権を握ること。
少しずつ主導権を握ってきたら、今度は「話しの終わりに関わる質問」をしていく。
A:「納期が遅れた」
B:「結局どういう形で決着をつけたのか?」
→相手はそれに答えざるを得なくなる。
B:「(○○など)こういったことを今後注意するとよい」
というかたちで、こちらから話題を切りやすくなる。
特に仕事で部下相手で、且つうまくいかなかった時のいきさつを聞かなければならない時なら、
相手の話を聞きつつ、要点をまとめつつ論点をずらし、少しずつコースアウトしていくこと。
相手は不安になっていたり、分かって欲しくて詳細に伝えたがるものである。
このように、要点を理解し、事の対応をし、不要なところは上手に受け流すことができれば、
仕事もこなし、人間関係も不用意に崩すことなく、何なら信頼も得られるであろう。
ただし、前述のような相手の悪口や理不尽な発言には、何のストロークも与えないこと。
相手の話す気力を奪い、退けること一択のみであり、速やかにお帰りいただくべきである。