否定的ダブルバインド

 
どちらを選んでも正解ではなく、逃げる場所もない状態を否定的ダブルバインドと呼ぶ。
「分からないことは自分で判断せず必ず相談しなさい」と言うから相談すると、
「こんなこともわからないのか」と怒られるので自分で判断すると、
「なぜ相談もせずに勝手に決めてしまうんだ」と怒られる。
 
人の心は矛盾が苦手なので、逃げられない状況で矛盾した命令をされると、
自分を変えることで、どうにかしてその矛盾を「矛盾ではない」と思い込もうとする。
 
矛盾している相手を変えることはできなくても、
自分を変えることで矛盾を解消することはできるからである。
そして理性は、自分が変化したことにさえ気づかない。
 
また、怒っているものとして接しても怒っていないものとして接しても否定されるという、
言語的なメッセージと非言語的なメッセージが矛盾している状態も同様である。
怒っている理由を聞かせてくれれば謝ることも自分の正しさを主張することもできるが、
怒っていないと言われると解決すること自体を禁じられてしまう。
 
すると人は混乱し、次第に相手の言いなりになっていき、
少しでも相手の表情が晴れるように、相手の望むことを自ら進んでするようになる。
しかもそれは相手が怒っているから仕方なくそうするのではなく、
相手は怒っていないのだから、純粋に自分の意志で行うことになる。
これも一種の洗脳である。
 
頼まれた場合には断ることもできるが、自分の意思でしていることをやめるのはとても難しく、
結果的に相手にコントロールされるようになってしまう。