今回の話題は音楽指導だけに収まらないことなのかもしれませんが、
実際は、やってもいないのに無理だと言っている人がほとんどです。
或いは、2, 3回やっただけで諦めていることもあるでしょう。
「何十回もやってみたけど無理でした」という人にも、
それほど出会えたこともありません。
だから、周りの人には、本当は「やりたくない」とか、
「面倒くさい」なのかな、と思われてしまうのが自然かもしれません。
指導の面からは決して「やれ」だけで済ませることはしないですし、
他の指導者の方でもきっとそうでしょう(と信じています)。
結果としてほとんどの場合はできるようになるのですが、
ある程度の補助やできるようになった後のフォローも必要でしょう。
今日はいわゆる「できない星人」の、賑やかな子供達に会ってきました。
その中で学んだり伝えたりしたことを綴っていきます。
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さて、世の中には面白いことに、自分でまったく判断をせず、
行動も起こさずに「無理」、「できない」という人がいます。
これは普通ならおかしな話ととられてしまうのでしょうが、
中には当てはまる人もいるかもしれません。
もしかすると、最初は誰しもそうだったのかもしれません。
こういう時は、まずは、できるかできないかの二択ではなく、
やってみてからできるかどうかを判断する、
と考えて行動に移してみるのがよいでしょう。
なんでもかんでも「無理」、「できない」を前提にしていると、
できることもできなくなってしまって後を引きますし、
とても簡単で誰でもできることすらできなくなるということに陥ってしまいます。
それでは、例えば物事百個のうち一つくらいしかできない人になるし、
人生で言ったら99%をできないまま終わらせていくことになりかねません。
しかも、自分で自分の可能性を否定してしまうため、
成長するはずのことも成長せずに、現状維持のままになってしまいます。
もう少し言い方を変えると、「今さえ何とかこの時間を乗り切れればいい」
と言って、できないまま、何もしないまま、何とか知らん顔して過ごす、
という時間が、この後もほぼずっと続いていくということです。
何かをする前から「無理」、「できない」というのは、例外を除き、
自分に才能がないからできないのではなく、
環境や条件が揃っていないからできないのでもなく、
先生や他の誰かが「できた」と認めてくれないからできないのでもありません。
一般的には、自分が「できる」と思って実際にやってみるから、
最初はうまくいかなくても少しずつできるようになっていくのです。
また、「とりあえずやってみよう」という姿勢も大切であり、
もっと気楽に取り組んでよいのです。
とりあえずやってみることで、どこの部分が「できる」、「できない」とか、
「今日は調子が良い、悪い」ということが分かってくるのです。
だから、一度も挑戦しないうちから「できない」というのは、
最初からやる気がないだけだと思われても仕方ないでしょう。
(本当に例外の場合は配慮が必要ですが、ここでは一般論として。)
自分の力で掴み取ったものが、その後の自分の実力になるのです。
人から与えてもらったのでは意味がありませんし、
自分でなんとかしないで得た力はいつ失ってしまうかも分かりません。
自分でやるからこそ価値があるのです。
人にねだっても、代わりにやってもらっても、何かにお祈りしても、
結局それでは自分自身の力は何も変わらないのです。
そんな暇があるのなら、自分で自分を磨いた方がよっぽど早いですし、
何かを成し遂げようと思ったら、小さな努力を積み上げていかないと、
その何かができるようになるということはないのです。
また、人から言われた課題さえできていれば必ずすべてがうまくいく、
ということもありません(与えられたことをこなせる能力は大事ですが)。
自分で気づいたり思い立ったりして、実際にやることが大切なのです。
うまくいくまでは、誰かに嫌なことを言われたり、
馬鹿にされたりして傷ついたり、挫けたりすることもあるかもしれませんが、
そのままだと本来の自分の力はいつまで経っても伸びることはないでしょう。
もしも、今現在失敗が続いて落ち込んでいるのならば、
持ち直すまでにはそれなりの時間と努力が必要かもしれません。
でも、まずは自分の可能性を信じて、
少しずつでも取り組んでみるのがよいでしょう。
この「自発性」と「少しの勇気」が大切なのです。
指導者たちも昔に同じような経験をし、それを乗り越えて今があります。
だから、今あなたがやろうとしていることができないからといって、
あなたのことを馬鹿にして終わり、ということはありません。
これから良くなるはずの人達へ、希望やきっかけを与えるのが仕事ですから、
一緒にいる時は怖がらずにどんどんチャレンジしてよいのです。
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さて、今日は、大人でもてこずるような打楽器奏法を、
見事にやり遂げた子供達がいました。
「大変よくできました」と褒めても褒めても足りなかった。
朝のうちは私に会うまで落ち込んでいた様子だったのに、
できるようになって、練習が終わる頃には元気よく輝いていました。
大きくなったら、今日までできずに落ち込んでいたことも私のことも、
やがて忘れて記憶からもなくなってしまうことでしょうが、
忘れてよいのでこれからもどんどんチャレンジしていってほしいと思います。
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・大人の方へ
子供の持つ潜在能力は、素晴らしいものがたくさんあります。
私たち大人は子供の頃に、上手に体を動かせずに転んだり、
自転車の補助輪を外す時に怖かったりした思い出が、
もう既に記憶のかけらにも残っていないかもしれませんが、
子供にとっては意外と近くにあるものなのだと思います。
確かに人間にとって物理的に不可能なことは無理でしょうが、
先に誰かができたことのあることなのであればきっとできるようになるし、
丁寧に根気強く寄り添って励まし、できた時は一緒に喜んであげることが、
子供達にとってのその後の自信につながるのだと思います。
と、勝手に思っております。
そしてこれからも力になりたい。と、これも勝手に思っております。