年金定期便は必ずチェックすること。
・自分が間違いなく納付しているか(自分で納めている場合)
・会社が自分の年金を払っているか(会社が納めている場合)
が確認できるため。
記載がなければきちんと納付されていないことになる。
昔、「消えた年金問題」という事件があった。サラリーマンが会社の給料から保険料が天引きされていたにも関わらず、
会社側が納付していなかった、というもので、第一次安倍政権(平成18 - 19年(2006 - 2007年))の頃の話である。
普通、サラリーマンは会社を辞めてから年金をもらうが、もらおうと思って社会保険庁に手続きに行くと、納付された記録がないことが分かる。
そして遡って調べていくと、納めるべきだったはずの会社も既に存在していないことが分かる。特に転職などをしている人の場合は納付期間に空白ができてしまう(当時は受給資格に足る納付期間が25年だった。平成29年8月1日からは10年に短縮)。ドラマのような本当の話である。
なぜ会社から天引きされているのに、会社が社会保険庁に支払ったかが分からなかったのか、ということを考えた時、国が領収書を出していないということが原因となった。
そこで世界の例を参考にし、会社経由で納付したものの領収証は個人に直接連絡する、というものを取り入れた。
こうして仕組みができたことで、自分の年金を会社がちゃんと払っているかが分かるので、必ずチェックしなければならない。
年金定期便は、社会保険料をポケットに入れるという犯罪を防止するためにおこなったものだ。
国から個人に来る通知だが、住所移転した時なども会社経由で年金機構の方に行くが、会社がちゃんと処理していなければ年金定期便は個人には届かない。
会社は天引きして払っているのだから、個人に年金定期便が来なければ文句を言って当然なのである。
年金定期便が来ない人は、必ず年金機構や社保庁、住んでいる地域の年金事務所などに問い合わせること。
「自分の住んでいる住所に届かない」ということは、大変重要かつ重大なことでもあり、過去に起きた「消えた年金問題」といういきさつもあるが、同じことを二度と起こさないようにこのような仕組みになっているからだ。
ちなみに、世界のオレンジデータは同じような仕組みであると言われるが、当時の日本にはこのような仕組みがなかったため、世界標準の仕組みを参考に作成されたそうだ。
若い人だろうがそうでなかろうが、「年金定期便が届かない」というだけで、必ず社会保険庁に問い合わせなければならない。もし数字(納付額や納付期間)が間違っていたら尚更のことである。
領収書を出しているということに近いものであるから、自分が支払いをしたら領収書をもらうのと同じように、必ず受け取らなければならない。このようなデータで国が保管しているという証明でもあるのだ。
現在では年金について、年金機構に問い合わせることもできるし、電子的にもWebで見られるようにもなっている。
年金は自分が受給世代になってから申し込まないともらえない。こうした保険というものは、自分で申し込んだり手続きをしたりする必要があり、先方から勝手にいろいろやってもらえるものではないことをよく分かっておくことだ。
65歳など年金を受給する時になって、その時初めて気づいたのでは遅すぎるのである。
●参考
【第33回】髙橋洋一ライブチャンネル