二者択一で物事を考えてしまうことを改善したい、考え方を変えたい時には

 
 「1つ失敗したから全部ダメ。私はなんてダメなんだ。」
 「うまくいかなかったのは全部自分のせい(アイツのせい)。」
 「あの時のアレがあったから、もう人生全部終わり。何をやっても無駄。」
 
 成功か失敗か、イチかバチか、0か100か、マルかバツか、YesかNoか。
 このような二分思考は極端な思考とも言われます。
 物事を後になってから振り返ってみる時には、俯瞰してその物事を捉えやすくなるためよく分かると思うのですが、世の中は成功と失敗というような「二者択一」の考えだけで成り立っているわけではないようです。
 
 このように言うのは、例えば次に挙げるような考えがあるからです。
 ※二分思考をせずに過ごせている方には、少し変わった文章に見えるかも知れません。
 
 ・主観的に見ても客観的に見ても、次への課題も残らないほど100点満点の結果で物事を終えられることは、ごく稀である。
 
 ・年収300万円前後の人が、ある日突然何の前触れもなく、10億円や100億円といった、対処ができない規模の大損をすることはない。
 
 ・学校のテストで95点をとったのに、100点ではなかったという理由一つだけで、生活態度も提出物も出席状況も良好な学生が、総合評価で完全に0点の扱いされるようなことはない。
 
 ・現時点において想像を絶する大失敗をしたとしても、精神的にも物質的にもこの世のすべてがきれいさっぱり消えてなくなってお終いになり、何らかの空間の中で自分一人だけを残して、本当に「何にも無し」の世界にはならない。
 
 
 
 少し極端だったかもしれませんが、過去にあった経験というものは、大体において自分にとって「ぼちぼちの結果」くらいになっているものです。
 しかも、自分が経験を積み、より俯瞰して物事を見ることができるようになっていればいるほど、過去のことを冷静に分析できるようになるものです。
 ですから、たとえその時には悪い経験であったとしても、それは「良い判断をできるようになったきっかけの経験」であったり、「その時代の自分としては冷静に見てかなり良い判断をすることができていた」ということであれば、まあ50点ぐらいは当時の自分にあげても良いのではないでしょうか。
 
 そうしてみると、現在までやってきた物事の評価が、70点であるとか、60点~80点ぐらいの出来栄えや評価で終えることができているのであれば、かなりイイ線をいっているのではないでしょうか。
 それってかなりの成功なのではないでしょうか。
 
 大体のことには、良かった点も、悪かった点も、改善できる点もあります。
 また、「今自分が生きている現実を大幅に超えて未知の現象に出くわす」ということはそう多くありません。
 こう言ってしまったら少し冷めた言い方かもしれませんが、「大体のことはまあまあ無難に終わる」のが世の常なのかもしれません。
 
 
 
 ただし、二分思考の人は100点以外はすべて0点だと判断してしまう傾向が高いため、どこか一箇所でも詰まったり間違えたりしただけで、大失敗をしたと考えて自分を責めたり落ち込んだりしてしまうので、身の周りにネガティブなことがどんどん増えていくことになるのだと思います。
 
 ちなみに筆者は、テストで90点以上取れていたら結構喜んでいたタイプです。
 また、朝起きた時の気分が95点ぐらいだと感じていたら、その日一日は結構イイ感じに送れると思います。
 
 これは、人によって線引きの仕方が違うのかもしれませんが、もし普通の人が、普段の調子の良さで90点以上だと感じた時が「絶好調」とするのであれば、おそらく筆者は20点以上で絶好調だと感じていると思います。
 なぜなら、一日の中で、多少きついけれど自分で体調管理を何とかやりつつ割と多くの人にも会えている状態と、外にも出られず起き上がるのも辛くて横になって一人でいる状態と比べたら、前者はかなり絶好調だと思えるからです。
 
 また、自分の都合で勝手にどんよりした気持ちで他人と会っていたら、その相手にとっても嬉しくも楽しくもないでしょうし、相手の立場になってみれば、めんどくさい人と付き合うほど人生暇ではないと思うだろうからです。
 だったら少しくらい落ち込むことがあったとしても、全体的に20点くらいなのであれば「絶好調」と言っていたって、誰に迷惑をかけるわけじゃないし、「こちらで勝手にそのように設定しているんだから別にいいじゃないか」くらいに考えています。
 
 
 
 さて、二分思考で苦しんでいることに気が付き始めている人は、もう少し「中間点を許容する」とか、「線引きの仕方に柔軟性を持たせる」といったところを改善していかないと、メンタル面でまいってしまったり、そこから立ち直りづらかったり、ストレスそのものに弱くなってしまうという傾向が染み付いてしまうでしょう。
 
 これらを少しでも改善していくために、次のように柔軟性を身につけていくことも大切だと考えています。
 
 
①「0から100までの間のこと」も考えて点数をつけてみる
 悪いと言うにしても、30点ならどのぐらい悪いのか。良いと言うにしても、75点ならどのくらい良いのか。
 20点の成功とはどのようなものか。50点の成功とはどのようなものか。80点の成功とはどのようなものか。
 0か100かの考え方に、もっとグラデーションの要素を付け足してみると良いでしょう。
 
 
②良かった点と悪かった点をあげてみる
 例えば仕事の評価などを「成功か失敗か」の二択で評価するだけでなく、箇条書きでも良いから「良かった点と悪かった点」をきちんと書き出してみて、「それをどのように改善させることができるか」まで考えてみる。
 その上で今回は何点だったか評価してみると、さらに良いでしょう。
 
 
③二分思考をしてしまった自分に気付くようにしてみる
 失敗したか成功したかはひとまず置いておいて、「今自分は極端な考え方をしていたな」と気付いてみることが大事です。
 「○○しないように。しないように。」と考え続けるのではなく、「自分は今○○をしていた」と自分の今の状態に気付き、それができるようになっていくことで、少しずつ「次はそうならないように気をつけよう」とか、「5分だけ我慢してみよう」など、考え方や行動をコントロールすることが可能になっていきます。
 
 「二分思考をしていた → じゃあ直そう」というところから始め、それを修正していくことで、良い状態を維持することができるようになっていくことでしょう。
 
 
 
 とはいっても自分自身のことですから、無理やり直したり変えようとしたりする必要はないでしょう。
 それよりも、今の自分の状態や、感情や、行動といったものを客観的に見られるようになれば、自然とフィードバックして直していくことが自分でできるようになっていくことでしょう。
 
 起こった現象に対して、自分の至らなかったところを責め続けるのではなく、今の自分の行動に注目して観察したり、冷静なフィードバックをしたりして、客観的な原因や改善点を見つけ出していくことが大切です。
 決して今の自分を責めたり追い込んだりせずに、「客観的に見て客観的に直す」という視点を持ち、淡々と行動に繋げていくことで、自分の中の「良くない」或いは「偏った」考え方や癖などを改善していくことに繋がっていきます。