誰でも、人から嫌われるのが大好きという人はいないだろう。
誰だって、人から何か頼まれて、断りきれずに引き受けてしまった経験はあるのかもしれない。
しかし一方で、自分でやりたいようにやりたいということもある時はどうするか。
まずは自分がどうしたいのかを考えるとよい。
例えば、人から嫌われたって主張しなければならないことがある場合は、そうした方が良いだろう。
しかし、嫌われたくもないし、こうして欲しいのに、という場合は、実現に向けて工夫する必要がある。
やる人本人にとっては、たとえ小さな工夫でも大きな行動に思えてしまうだろうが、その行動が100%必ず嫌われることに繋がるのかというと、そんなこともない。
やってみたら意外と上手くいくということはあるのだ。
その時の伝え方にしても、嫌われる一線を越えないようなもう少し手前の、「穏やかなやり取りをする」とか「丁寧な文章を使う」など、やり方は色々あるはずである。
だから、「嫌われるかもしれない」と思い込んで早急に結論を出してしまう前に、嫌われるかなと思っても「こうなって欲しいという理想」を意識しながら時間をかけて対応していくとよいだろう。
何か一つを言ったからといって、相手との今までの関係の積み重ねが全部否定されて100%嫌われるということは、普通に考えたらほぼないだろう。
もちろん、悪口、陰口、仲間外れなどの誹謗中傷は問題外だが、「ちょっとお願い事」、「ちょっと頼み事」、「現時点の自分の考えや意見」を言ったからといって、そのたった一つが原因で嫌われてしまうということは、まずないのだ。
そう考えるのが自然だろう。
人間同士のコミュニケーションにおいて、自分以外の相手には「ものを言わないと伝わらない」のである。
今、相手に何も伝えていない状態をゼロとすると、もし何か伝えたとしたら、100%のかたちで伝わったり理解してもらえることがないにしても、ゼロではない。
むしろ50でも30でも伝わったら良い方かもしれない。
これが、自分から相手に何かを伝えたら、今までの付き合いや人間関係も全部なしにして、突然-100になるということはまずないのだということだ。
仮に、伝えた結果マイナスの印象だったとしても、大体は-1や-2とか、多くても-5程度だろう。
そう考えると、「100未満だけどプラスに働く」という可能性は大きいと言える。
なぜなら、基本的には相手のことや立場などを何も考えずに自分の思いだけを伝えるということはまずないからだ(そうしないでしょう?)。
「自分の頭の中だけで考えいて、相手に何も伝えていない」という状態ならば、何かが起きることは絶対にないのだ。
だとしたら、「言わないリスクも言うリスクもあるが、とりあえず試しに言ってみる」という選択をしても良いのでないか。
また、試しに言ってみて嫌われてから、或いはあまり良くない反応を感じてから、「次にどうしようか」と考えてみても良いのではないか。
それにしても、もし試しに言うとしたら、自分が話す内容、伝え方、タイミングの他にも、相手の立場、背景、親密度などは一切考えないのだろうか。
この時点で多くの人は、多少なりとも相手のことを考えられるのが普通なので、「嫌われるとか、いちいち考え過ぎだ」というくらいに思って、堂々とコミュニケーションをとっていったらよいのではないだろうか。
逆に、この時点で相手について何も考えておらずハッとしてしまった場合、「相手に嫌われたらどうしよう」の前に、まずやることがあるはずだ。
そういう場合は、相手に今回伝えたかったことや聞きたかったことは、当たり障りのない範囲で聞いておくくらいに留め、真っ先に自分自身をなんとか磨き上げることが最優先である。
さらに、あえて付け加えるなら、自分に自信がなくて不安に陥っているのなら、コミュニケーション力を伸ばすために本を読むでも、筋トレをするでも、誠実であるように努めるでも、仕事や勉強で実力や実績を付けるでも、何かできることがあるはずである。
たまには「自分のことを嫌いになると損するよ」くらい思わせてみようと自分の頭の中で思うくらいなら罰は当たらない。
さまざま述べたが、要するに「とりあえずやってみよう」の気持ちでやってみることである。
もう少し背中を後押しできることがあるとすれば、サントリー創業者の鳥井信治郎氏は、「やってみなはれの精神」で取り組んでいたというそうだ。
成功者がやっていることを試しに一回でも実際に真似てみることは、価値のあることを学べる可能性が上がる。
また、客観的に見て「やってみなければわからない」ことに対しては、「やってみてどうだったか」という判断をするのが自然である。
それなのに、人は不安な時ほど自分勝手に、今目の前にあるリスクを過大評価してしまう。
確かにその考えは、「人間の本能として自分自身を危機から守っている」ということかもしれないが、それも時と場合によるし、さらに加えて経験にもよるので、「実は大したリスクではないのに過大評価しているのではないか」という目線で、よく見て考えることも大切である。
経験上、大体の場合は、
①相手のことと自分の段取りなどは考えた上でさっさと行動に起こしてみて、
②ダメならダメでその時点でできる工夫をして、
③小さなことにめげずにそこから先を進んでいけば良い。
多くの場合は「あんなに悩んでたのが馬鹿らしい」と思えるほど、意外とうまくいくものである。
やってみなはれ。