人間関係で適切な距離感をとるには、近寄ったり離れたり試行錯誤しながら、その相手との心理的な距離感を探っていくしかないだろう。
人間関係といっても十人いたら様々あるので、相手との適切な距離感というものは、人によってそれぞれ異なるものだと分かっておく必要がある。
例えば、もう友達付き合いが10年近くになるAさんと最近知り合ったBさんとでは異なり、Aさんとの距離感をBさんに適用するのは不可能だと考えると分かりやすいだろう。
なぜなら、人間関係が深まるほど距離感も狭まってくるためである。
つまり、最初のうちからBさんに対してAさんにするように接した場合、Bさんの許す社会的な範囲にズカズカと入り込むことになり、場合によっては嫌われたり、不快感や恐怖感を与えてしまいかねない。
人との距離感というものはある種、人間の本能で言うところの「縄張り意識」と近い。
先のように不快感を感じたりする場合もあるし、その反対に、親しい間柄の人達にはいつも自分の近くにいて欲しいし、少し離れてしまうだけで寂しく感じてしまうものである。
だから、何か1つだけの限定された距離感の物差しで処理しようとすると、うまくいかないのだ。
人との距離感をとるのが上手い人は、いつも試行錯誤しながら相手との距離感を見極めていくものだ。
その基本としては、遠くから初めて徐々に近づいていくしかない。
コミュニケーションの分野では、やり取りをキャッチボールに例えて言うことがあるが、人間同士の距離感の見極め方もそれと同じである。
恐らくほとんどの人がそうなのだろうが、自分からボールを投げないで待っていることが多い。
普通は相手からボールを投げてくれるものではなから、基本としては「こちらからボールを投げなければ帰ってこないし、始まらない」と思っておくことだ。
待っているだけでは人間関係は深まらないし、実際の距離感も分からないままなのだ。
「自分から心の扉を開く必要がある」ということである。
結局のところ、コミュニケーションを取りながらでないと、相手との心の距離感は分からない。
だから、実際のキャッチボールの時に、ボールを投げるスピード、場所、距離などを相手と合わせていくのと同じように、コミュニケーションの面でもそうしていかなければならない。
もう一つ付け加えるとすれば、「こちらから自己開示をする」ことだ。
最初は公の情報や肩書きなどを含めた自己紹介などから始まって、仲良くなっていったら私的な情報を言ったりするように、自分についての情報を言える範囲でタイミングよく出しながら相手に伝えていくということである。
そうすることで、相手に対して「心が開いている」とか、「敵意がない」ということを伝えることもできるのだ。
この投稿だけでなく、コミュニケーションの取り方なんて少し調べれば世の中じゅうに溢れているので、まずは自分からボールを投げ、コミュニケーションを取りながらその相手との距離感を測っていき、徐々に仲を深めていくしかないだろう。