物事を少しでも「できる」ようになるために メモ

 
 何かをやってもらうように言った時、「できません」という人は多いように思える。
 と言っても、例えば精神的に患っていたり、現在のところ疲れ切っていていわゆる「低空飛行モード」の人などにおいては無理強いすることはない。
 本人だって心のどこかでは「できるようになりたい」とか「やりたい」と思っているだろうと信じたいからである。
 
 さて、ここでは、一般的に「やりたい」と思っていても上手くいかずにできない自分を責めてしまう、ということを少しでも解消し、「できる」に変えていくためのステップとしたい。
 
 
 
①最初はできなくて当然である
 物事が上手くいかないというのは、そもそもよくあることだ。
 なぜなら、そのこと自体を知らなかったり、今までやったことがなかったり、その日に体調や技術などの状態が良くなかった、ということあるからである。
 だから、ある水準にまで達していないから「できない」と感じるのは当たり前なのである。
 
 つまり、そのことを覚えていないからできなくて当然だし、慣れていないからできなくて当然だし、できる人が周りにいなかったり見本を知らなかったりしてできないのは当然なのだ。
 また、体調や精神状態の波によってその水準を下回ってしまっている時に、できなくなってしまうこともあるだろう。
 それなのに周りがせき立てて「やりなさい」と言ったって、できないものはできないのだ。
 
 まずは、今の自分がゼロの状態やスタートラインの状態にあるということを知り、自分の気持ちを自分で下げてしまわないようにすることである。
 なぜなら、少しずつでも実行してみたり、経験してみたり、失敗したり学んだりするからできるようになっていくからだ。
 
 ただし、できない、できないと言って逃げてばかりいたり、自分の殻に閉じこもっていたり、実際に一度もやってみなかったり、周りの人たちとコミュニケーションをとらないままにしているようでは、やはりできないままになってしまうので、そこは徐々に慣らしていく必要があるだろう。
 
 
 
②トレーニングだと思ってやってみる
 一回でいいから、1分でいいから、ほんのちょっとでいいからやってみるということが大切である。
 それは、トレーニングのきっかけとなるからだ。
 最初は10のことを10できなくたっていいので、0を1にでも、0.1にでも進めていくことだ。
 
 要は、もし一度もやっていないのに「できない」と思い込んでいるようだったら、少なくとも1回やってみたらどうですか、ということである。
 或いは、そのことをトレーニングとして捉えてみて、取り組んでみたらどうですか、ということである。
 
 筋トレに置き換えてみると分かりやすいだろうが、トレーニングとは基本的には辛いことなのだ。
 できないことをできるようにしていくのだから、簡単だったら トレーニングにはならないのだ。
 
 実際に体を動かしてみれば実は驚くほど簡単なことでも、心が弱い状態においては辛かったり、苦しかったり、困難だったりするが、トレーニングを「良いこと」として捉えていくようにするのだ。
 筋トレを一度にいきなりたくさんやったら筋肉痛で動けなくなってしまうから、徐々に負荷をかけていくというのと同じように、今はできないけれどできるようになりたいと思っていることも、前向きな気持ちで徐々に取り組んでいけばよいのである。
 
 
 
③加点方式で進めていく
 今までまるでできなかったことが、少しずつできるように変わっていったとしても、それが最初から理想の形や完璧な形になっているかどうかは分からない。
 まして、例えばコンテストなど他人が採点したり評価したりする場所を目指していて、その過程で「できない」と言っているのであれば、そもそもその場に挑むことさえ難しくなる。
 
 最初はほんの1回から始めたかもしれないが、それが2回、3回と繰り返せるようになっていって、当たり前のようにできるようになっていく。
 自分自身でできている実感を感じるか、当たり前になって意識しなくなっていく。
 そして、周りの人達から見てもできている状態にしていく。
 
 その上で、誰から見ても素晴らしいと思える形になるように磨きをかけていく。
 そうやって段階を進んでいく中で、今までぼんやりとしていた「できる」も、もっとはっきり言葉として分かったり、実感していくようになっていく。
 
 そのためには、何をやったか、どうやってやったか、ということを一つずつでも記録していき、できたことを自分で振り返りながら増やしていくことが大切である。
 
 
 
----------
 
 人は、誰にも頼まれていないのに、自分からできないことを探し出し、自分を責める天才なのかもしれない。
 最初はできなくて当たり前なのだから、別にそれで良いではないか。
 一つずつ取り組んでみたり、一つずつできるようになったりしたことを見つけて、そこに喜びを感じていくからこそ、できるようになることは面白いのだ。
 
 ゼロの状態がそのまま続くのであれば、何にも変わっていないし、進歩もしていない。
 一週間後にはできるようになりたいとか、一カ月後にはそれよりももう少しできるようになっていたいと思いながらも、今日できるようになったことを地道に数えていくことが大切なのだ。
 できないことを数えたり感じたりして落ち込むことではないのだ。
 
 例えば、一週間のうちにうまくできた日が一日あったとしたら、その一日をすごく喜んでみることだ。
 「6日間もうまくいかなかった」と考えるから落ち込んでいくのだ。
 
 何かをできるようになりたいと思っても、何でも最初はできなくて当然である。
 そこで自分のことを責めずに、今できることはトレーニングなのだと思って取り組む。
 そして、今日できたことやうまくいった回数を、1つでも2つでも数えたり記録していくようにする。
 そうすれば、より前向きに物事に取り組んでいくことができるだろう。