バイアスに引っかかりやすいかどうかを知るテスト、とその活用

 
 ある日曜日、A君はお父さんと一緒に渋谷に買い物に行きました。
 ところが、A君はお父さんとはぐれて迷子になってしまいました。
 親切なお爺さんが泣いているA君を見つけ、交番に連れて行ってあげました。
 すると警察官は「その子は自分の息子なんです、ありがとうございます。」と感謝しました。
 一件落着。
 
 …という問題である。
 さて、この話で疑問がたくさん湧いている人は、バイアスにかかりやすいとされるそうだ。
 例えばそれは、以下のような点についてではないだろうか。
 
 ・お父さんとは買い物に来たのではなかったのか
 ・なぜ交番で仕事をしているのか
 ・A君のお父さんは二人いるのか
 
 この話のオチとしては、交番の警察官はA君の母親で、女性警察官だったのだ。
 冷静に考えれば分かったかもしれないのに、「交番のお巡りさん = 男性 = お父さん」という偏った考えにより、無意識のうちに脳で決めつけ、女性警察官という考えが抜け落ちてしまっていたのだ。
 
 
 
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 ちなみに、エスプリ問題などでよく見かけるようなこうした話は、特に子供向けの音楽指導に活かせるので、たまには自分の脳トレの一環も兼ねて触れるようにしている。
 なぜなら、子供は大人のように知識や理論や型などが備わる前ということもあるからか、大人に比べて閃きや発想力に富んでいることが多いからである。
 思いがけない方法で問題解決に辿り着く様はまさに「驚くべきこと」と言えるので、こちらも発想力を磨いて共感できるようにしておかないと、子供のその大切な瞬間を見逃してしまうことになるのだ。
 
 また一方で、「質問の仕方が分からない」とか、「質問するのが恥ずかしい」とか、「自分でできないと馬鹿にされたり嗤われてしまうんじゃないか」などということもあるのだ。
 そうした時は、分からないなりに、その時に使える自分の言葉やジェスチャーを駆使して接してくることは稀であり、大抵は下を向いて時間が過ぎるのを待っているか、自分に問題がないふりをしているかしていることが多い。
 
 だから、こちらからアプローチしていき、こちらが問題を見つけて解決に結び付けてあげる必要がある。
 しかも、自分の力で解決したように着地させることが望ましいのだ。
 そうした時、「この目に見えない、気付けない、しかし悩んでいる」という状況を何とかするために、この種のエスプリを聞かせた問題やクイズなどは役に立つことが多いのである。