相手があることで「どうしていいか分からない」となった時の対処 メモ

 
 結論としては、まずは思っていることを言葉にしてみることである。
 思いついた言葉をいきなり相手にぶつけないにしても、紙に書き出すでも、テキストとして打ってみるでも、独り言で言ってみるでもよいので、何回か繰り返すうちに今よりもはっきりとした言葉になっていくものである。
 
 「そんなこと分かっているよ」と思っても、やらないで放置しておいて、ある日突然不安や怒りを爆発させて他人に向けてしまうよりよほどよいだろう。
 特に他人とのやり取りに対して不安や心配が募っているのであれば、尚更のことである。
 相手がある時は、いきなりMAXの状態で爆発するのではなく、徐々に言語化していく方がよいのだ。
 
 そうして、まずは自分一人ででもガス抜きすることができれば、多少ストレスを軽減させて少し落ち着くこともできるし、時には自分にも直すところがあったと気付いて思い留まることもできる。
 最初から相手がある状況でも、徐々に言語化してやり取りを積み重ねていく過程で、例えばこちらの気持ちに気付いてくれたりして、「気遣ってくれていたのに、気付かなくてごめんね」などと一言聞けるだけでもかなり楽になるだろう。
 
 
 
 自分の思っていること、お互いの思っていることを言葉にしてみることで、現実を変えなくても、 或いは実際に今までと何も変わっていなくても、問題が改善したりストレスが圧倒的に減ったりするのである。
 無理やり原因を取り除かなくても、ネガティブな感情を無くしたり減らしたりしていくだけでも、悩みが解消されていくということはあるのだ。
 
 まずは、「相手を変えてやろう」と思わないようにすることだ。
 相手のことは変えようとしなくていいので、お互いに思っていることを少しずつ言葉にしていくのだ。
 何度言っても変わらないこともあるかもしれないが、「何度言ったって絶対変わるわけないもん」と自分の中で勝手に決めつけるよりは、何かが変わる可能性の方が比べ物にならないほど高いものなのだ。
 
 相手を変えようとか、相手に「Yes」と言わせたり、言うことを聞かせようとすることが目的になってしまうと、恐らく物事の解決の幅は「究極の二択」になるほど狭まってしまう。
 「解決」だけでなく「解消」させるという選択もあるのに。
 
 
 
 物事を「0か100か」で判断したり、悩みの原因を取り除くという意味での「解決ができるか、できないか」ということを問題にしてばかりいると、視野が狭まってしまい、「現状で不満度100という状態を60ぐらいまで引き下げよう」というような軽減させる方法なども思いつかないし、「対処を続けて0に近づけていき、その結果0になって解消する」という道筋も立てられなくなってしまうのだ。
 
 世の中、相手があることなら、ほとんどの場合は原因を取り除こうと思っても取り除けないことばかりだろう。
 もし取り除こうと思って取り除けるのなら、何でもとっくの昔に解決しているはずである。
 いきなり0にしようとしたり、「相手に非がある」と一方的にしようとするから、悩みが解決・解消するどころかストレスがどんどん増えていくのだ。
 
 もし今の不満度が-10点なら、-9点になるだけでも現状は改善されるわけだから、そのために今できることを少しでもやってけばよいのだ。
 そうして一つずつやっていく間に、やがて-3になり、-2になっていき、「前より楽になった」とか「気にならなくなって忘れてしまった」となって、気がついたら0になって解消されている、ということもあるのだ。
 1つの動作で、10の威力が出せる方法で、一発で相手をとっちめようとするから、自分が苦しむことになるのだ。
 
 解消に向けて一手一手進めていくことができるようになると、今起こった、或いは起こっている事実が、主観的に見てどうなのか、客観的に見てどうなのか、ということが分かってくるようになる。
 そして、そこに自分の感、情が入ってしまっているのか、入っていないのか、ということを切り分けて考えられるようになる。
 そうすると、起きた事実は事実として把握し、自分の感情については受け取り方を変えられるので、少なくとも不満や怒りのドツボにハマるようなまねはしなくて済むようになるのだ(ただし物事には限度がある)。
 
 
 
 「仕事でミスして上司に怒られた。あんにゃろう、腹立つ。」という時でも、仕事でミスしたのは事実である。
 だから、「どうしていいか分からない」という気持ち、また、向けどころのないストレスや悔しさを一先ず静めたら、ミスの原因や、一つ前の手順で何をしていたかなどを振り返ってみればよい。
 仕事の上での作業なり段取りについては、次にやる時にミスしないように、少しでも減らしたり改善させるように対策を練ればよいのだ。
 
 また、「あんにゃろう」はきっとこの先も変わらないあんにゃろうかもしれないが、自分ではない他人である。
 もしも一時の感情の勢いで「あんにゃろう」と「腹立つ」をうっかり紐付けてしまえば、「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」となり、仕事にも嫌気がさしていき、「アタシはなんてダメなんだ」と瞬く間に沈んでいくことに繋がってしまうので、ここはしっかりと切り分けることだ。
 
 上司だって人の子だし、嫌なことだと思っていても、役職や役割によっては言わなければならないだろう。
 もしかしたらあなたの知らないところで、矢面に立って守ってくれているかもしれない。
 
 しかし、「腹立つ」はただのネガティブな感情である。
 個人的に何らかのストレス解消法で発散したり、普段から上司とコミュニケーションを取る頻度を上げて少しでも密なやり取りができる関係を作っていくなどして、うまく収めていくことはできるはずだ。
 
 このように、言葉にしてみて、切り分けてみて、ネガティブな感情を一つ一つ取り除いていくだけでも、人間関係のストレスはかなり楽になっていくのである。