自分で自分を下げてしまう言葉への対処 メモ

 
 自分自身を励ます言葉、勇気づける言葉、心に響くような言葉というものは、いつどんな時でも大切なものになるから、どこかにメモするなり自分に身に付けて使えるようにしておくとよい。
 なぜなら、そうした言葉を多く持ち、使い、何かを表現したり作ったりしながら、目の前に立ち塞がる困難に立ち向かって乗り越えていくのは、自分自身に他ならないからである。
 
 未来のことなど誰にも分からないものだが、どこかで辛い時や苦しい時が訪れたり、挫折して一人ぼっちになってしまうこともあるだろう。
 そうした時に自分の横にただ一人寄り添い、「元気出せよ」と背中を叩いて自分を励ましてくれるのは、そこまでの人生を頑張ってきた過去の自分だけなのだ。
 もし、普段から後ろ向きな言葉やネガティブな言葉ばかり使っていたら、いざという時に前も向けないし、小さな一歩を踏み出すことすらためらってしまうだろう。
 
 では、「普段からできるだけ言わない方が良い言葉」には、どのようなものがあるだろうか。
 
 
 
①無理、できない
 「無理」、「絶対無理」、「できない」、「できるはずない」と口に出した途端、脳がそれを認識して、それ以上頑張ろうとしなくなる。
 脳の力を100使えるとしたら、実際にはできることであっても「どうせ無理なら50くらいで抑えておこう」とパフォーマンスを下げ、本当に無理になってしまうのだ。
 
 自分の可能性を自分で狭めてしまうような言葉は、できるだけ使わないに越したことはない。
 それよりは「なんとかなるさ」とか、「やれる範囲でやってみよう」と口にした方がよほどよいのだ。
 
 
 
②どうせ自分なんて
 「どうせ自分なんて✕✕だ」、「私は何でダメなんだろう」というように、自分を卑下する言葉は使えば使うほど自己肯定感が下がってしまう。
 自己肯定感を上げるにはどうしたらよいかと考えるなら、まず自己肯定感を下げる言葉を使わないことである。
 その次に、自己肯定感を高める言葉をできるだけ多く使っていくことである。
 
 また、「うちは貧乏なので」とか、「トップ集団にいた経験が伴わないので」など、自分がそれまでいた環境を理由とするのも同様である。
 環境なんて一人一人違って当たり前なのだ。
 あなたはあなたの環境でここまで立派に生きてきたのだから、自分でやってきたことや乗り越えてきたことについて、もっと自分で自分を褒めることもできるはずだ。
 
 確かに、他人から褒めてもらえないというのは他人の裁量だし、他人から貶されたり批判されることを完全に防ぐことはできないだろう。
 しかし、自分で自分を批判しないようにするには、それを言わなければいいだけである。
 他人はあなたの生きてきた環境の一つ一つの詳細まで知らないのだから、大したことない人生だなんて思わずに、堂々としていればよいのだ。
 
 自分がそれまでいた環境を理由に遠慮をしたり断ったりしていたら、人生が好転するかもしれないチャンスを自ら棒に振っているのと同じだ。
 自分で自分を批判し、自虐し、自己肯定感も自分の可能性も 下げて、ポテンシャルもモチベーションも下げて、そんなことばかりしていたら何もできなくなって、やがて本当に何もできない人になってしまうのである。
 
 
 
③自分の欠点や短所を具体的に言葉にする
 バカ、不細工、役立たず、くらいはすぐに思いつくことだろう。
 「私はブスなので全然モテません」とか、「自分は頭が悪いのでそんなレベルの高い集まりには参加できません」などと、自分の短所を言葉にしてしまう人にはならないことだ。
 
 確かにこれは、ある種の謙遜のような言葉として使ったり、出しゃばらないように配慮しているのかもしれない。
 しかし、その場はそれで丸く収まったとしても、自分の自己肯定感だけは下がってしまうのである。
 
 自分の欠点や短所なんて誰でも持っているものだが、それをその都度口に出して言うことでそこにばかり目が行くようになり、脳としても記憶としても強化してしまうことになる。
 そして常日頃から「自分は何てダメなんだろう、バカなんだろう、見た目が悪いんだろう」と考えるようになる。
 さらに落ち込んで、自分で自分を下げ続けるという負の連鎖に陥ってしまうのだ。
 
 だから、取り敢えずのところは自分の短所は短所として一旦受け入れ、できれば自分の長所により多く目を向けていくことである。
 
 
④どうせ○○だから、でも✕✕だから
 「どうせ」や「でも」という逆説の接続詞の後にその理由を言うと、そこで思考が固定してしまう。
 「旅行したい、でもお金がない…。」と言うより、「旅行に行きたいけど、お金がないから夏休みまで貯金しよう!」くらいのことを言えばかなり前向きな表現になるのだが、そうしないからダメな自分やできない自分を肯定してしまうことになる。
 
 自分ができない理由や言い訳を言語化するとそこで肯定してしまうことになるから、それ以降の思考も、ダメな自分も、できない自分も、固定してしまうことになるのだ。
 「どうせ○○だし」というのはまさしく自己肯定感を下げる言葉なのである。
 
 「どうせうまくいかないに決まってる」というように、言い訳をした時点で「自分はそこで満足している」と脳では受け取ることになる。
 だから、まずは自分に対する言い訳をしないように気をつけた方がよいだろう。
 できない理由を言うのではなく、できる可能性を言うことで、前向きな表現が同じ状況を前向きなものに変えていくのである。
 
 
 
➄自分は生まれつき○○だから
 「自分は生まれつき頭が悪いから」などと使う人がいるが、生まれつき頭が悪いのなら勉強すれば良いのである。
 近年の脳科学の研究では、「生まれた時の能力だけで、それ以降の頭の良さや才能までが決まるわけではない」ということは分かってきているのだ。
 それよりも、生まれた後にどれだけ勉強するか、どれだけ運動するか、どれだけ脳を使うかで頭の良さが決まるのだ。
 
 「生まれつき○○だから」と思っている大体のことは改善できることが多く、生まれつきのままでその後も固定してしまうことはない。
 自分は不細工だと個人的に思っていたって、体を鍛えたり、美容に気を使ったり、身だしなみを整えたりするなど、対応できることは様々ある。
 生まれつき何か欠点を持っていたとしても、それで人生すべてが決まってしまうことはないのだから、そこを理由に自分で自分を下げる必要はないのだ。
 
 逆を言えば、そこを理由にしてしまうということは、その状態で思考を固定してしまうことになるので、この先良いことを自分から引き寄せていくこともできないし、たとえ良いことが起きたとしても気付かないだろう。
 なぜなら、脳は「どうせ自分はこんな状態だから、何か面白いことを見つけても仕方ない」と諦めてしまうからだ。
 そして、楽しいことや幸せなことに注意が向かなくなり、自分自身でマイナスの方向に注意を向けてしまうことになるのである。
 
 「たかが言葉」と思うかもしれないが、実際のところは言葉が人間の思考と行動を決めるのだ。
 だから、言葉と真逆のことをやるのは難しい。
 ネガティブなことばかり言う人は考えも行動もネガティブになり、ポジティブなことばかり言う人は考えも行動もポジティブになるというのは当たり前のことなのだ。
 
 いきなりすべてを変えるのは難しいが、せめてネガティブな言葉を減らす、言わないようにする、ポジティブな言葉を増やす、の三つくらいは、今日ここからでもできるはずである。