音楽指導に行くと、技術的なアドバイスの他にも、基本的なポイントや大きな意味での要点というものを伝えることがあります。
しかも、同じことであっても伝わるまで何度でも言います。
一つ付け加えるとしたら、いつも同じことを言うように見えていても、実際のところは同じことを少しずつ角度を変えながら説明していると言った方が近いと思います。
色々な場所で色々な生徒から同じような質問を受けるので、何十回も答えているような内容もあります。
音楽の分野に限らず、先生と言われる人たちも日々勉強しているものなので、同じような質問に対してもより新しい内容を伝えていたり、分かりやすく詳しく伝えられるように日々磨きをかけています。
言葉はその度に洗練されていきますから、より最近の答えの方が進化をしていたり、言葉としてうまくまとまっていることが多いです。
また、どんな分野でも、基本となることは、何年たっても大きく変わることはそれほどありません。
どの世代のどのような人達も大切だと感じていたことですから、むしろ洗練されていることがほとんどですが。
だから、姿勢や構えを正しくしましょうとか、フレーズの頭と終わりをはっきり演奏しましょうとか、アパチュアやアンブシュアをしっかり作りましょうとか、グリップをしっかり作って持ちましょうとか、そういう基本となる大切なポイントや対処法がしっかり身につくように、毎回毎回形を変えてでも伝えているのです。
基本をしっかりやっている人はそれなりにきちんと伸びていってるし、それに加えて自分から積極的に材料を探して上達していったり、何かで成果を出したり、熟練度も高めていたり、周りの人とも良好な人間関係を築いていったりしていくのです。
重要なことは何度でも話します。
話を聞く方も、一生懸命聞いていても聞いているつもりになっていたり、疲れているので頭の中に残らず忘れてしまったり、今のレベルでは何度聞いても上手く理解ができないという状況もあるでしょう。
また、伝える側としても、いつものように、いつもの癖で、いつもの思い込みや先入観や想像で、「大体こんな感じかなあ」と皆さんの音を聞いたり動きを見たりするよりも、初めて見るバンドだと思って接した方が、より現実に近い助言をすることもできるのです。
同じことを言っているようでも、実は初めて聞く人に初めて伝えるように毎回言ってるのです。
聞いている皆さんは「またかよ!」と思うかもしれませんが、初めて聞く人もいるはずなので、こちらも重要なことは何度でも伝えます。
だから、「またかよ!」と思ったとしても、こちらも怒鳴りつけて怒ったり人間性を否定しているわけでもありませんから、特に萎縮する必要はありません。
一度その話を聞いたことがあって分かっている人でも、言われる度に「客観的に見て自分はどれくらいできるようになっているのか?」と振り返る機会にもなりますから、改めて自分を振り返るチャンスと思ってくれれば幸いということで何度でも伝えています。
正しい理論や、順序や、方法というものを続けていくと、必ず効果は出るものです。
それが物事の道理です。
個人によってその成果が出るまでには時間差がありますが、基本となる土台をしっかりして綺麗な音やレベルの高い技術を求めていけば上達はしていくものですし、現在のところはイマイチの状態の人でも必ず少しずつ良くなっていくものなのです。
何回でも同じことを言うということは、やってほしい、身につけて欲しいからです。
または、効果があると確認できているから、実践で役に立つからです。
同じようなことを何度も言われることは確かに邪魔くさいですし、面倒くさいですし、時には腹も立って反発したくなりますが、是非とも言われたことを参考にして正しい方向性を持って努力を積み上げていってほしいと思います。