予想外の出来事を上手くこなせるようになるには


 基本的には、予想外の出来事は起こり得るものとして、ある程度予想しておくことです。
 また、予想外の出来事なのでうまく対応できなくても普通です。
 ただ、失敗した時、困った時などの、「いざその時」が来た時にどうするかということを予め決めておけば、安心して余裕をもって対応できるようになっていきます。

 例えば会社の業務内での例外発生ということであれば、ある程度年数を重ねた会社なら次のような対応が既に存在していると思いますから、目を通しておくようにします。


 ①例外時の初期対応など基本動作を予め知っておく
 ②マニュアルや想定問答に目を通すなど事前にできる準備をしておく


 何にしても、例外が発生した時は、焦って本来の目的を見失わないようにすることが大切です。
 もし、うまく対応できなかったことを気にし過ぎて落ち込んでいるのなら、次に活かせそうなことを一つでも探してみるとよいです。
 また、新しいこと、知らないこと、やったことがないことなど、自分が初めてやる業務の中で、「思っていたのとちょっと違った」というような小さな予想外の出来事を経験してみるのもよいでしょう。

 その上で、「今回のことは本当に予測できないことだったか」と考えた方が気持ちも楽です。
 こういうことは、熟練していくほど当然考えることですから、初心者やまだ慣れないうちは想像もつかないことがあって当たり前です。

 ただし、自動車の免許を取る時に学ぶ「車の運転と事故の事前予測の関係」や「危険察知の能力」などとよく似たように、問題をそもそも起こさないために事前に身に付けるべきこともありますから、会社の仕事などであれば、恥ずかしがらずに上司や先輩や前任者に聞いておくことです。

 


 この他、筆者は音楽指導に行くこともあって、練習の時の朝礼や夕礼の際に「みんなに何か話してください」と突然話を振られることも多いので、これが一例として相応しいかどうかは分かりませんが、例として挙げてみます。
 人から突然話を振られた時には色々と考えることはあるでしょうが、誰でも一度にたくさんのことを考えようとすると、パニックになったり、まとまり切らないまま話さざるを得なくなったりします。
 ですから、ある程度の型を作って持っておくとよいでしょう。

 もし朝礼なら、その日のスケジュールなどもありますから、あまり長く話しても先方の時間を減らしてしまいますから、挨拶と軽い一言程度に留めます(大会や発表会などのイベントの直前なら、時期に合わせてそれなりに大切なことを言います)。

 夕礼なら、
 ①一言、一文で言うとしたら、「何を伝えるか」を決める
 ②今日の様子や感想を話す
 ③良かった点を言う
 ④これから伸ばして欲しい点を言う
 ⑤最初に伝えた「何を伝えるか」をもう一度言う
 ⑥応援の一言を添えて締めくくる


 こういうことは咄嗟の対応ではありますが、ある程度の回数を経験すると、流れや雰囲気で予測できるようになっていきますから、「今日はどんな話をしてあげたら相手のためになるか」と自然と考えるようになっていきます。
 また、その他にも、少し時間のある時に次のようなことを考えておくとよいでしょう。


 ・つかみの話はどうするか
 ・自分には鉄板の話があるか
 ・本当に伝えたいことを伝えるための構成と段取りをどうするか
 ・言葉に詰まったり頭が真っ白になったりした時にどう取り戻すか


 様々あるでしょうが、「何かが起きたらどうしよう」という考え方ではなく、「相手のことを考えてこうしよう」とか、「うまくいかないことが起こったらこうしよう」などと、やることとできることを決めておくという考え方の方が良いでしょう。

 そうは言っても予想外の出来事や咄嗟の対応ですから、一度に何十個も思い付いた上、それらについて、かなり高い質で一瞬で準備するのは難しいことです。
 ですから、多少の失敗も経験しながら、「次同じことがあった時はこうしよう」と、一つ一つ地道に乗り越えていくことになるのが自然と言えます。
 あまり気負いせず、自分にできることを最低限用意しておくくらいでちょうど良いかと思います。

 


 さらに、その地道なことの一つとして、また会社の例ではありますが、やっておくことで練習の一つにもなるかと思います。


 ①会社に通勤するのに始業時間の何分前に着く想定をしているか
 ②自宅の最寄り駅を何時何分に発車する電車に乗るか
 ③電車の遅延が起きたらどんな迂回ルートがあるか
 ④遅延も踏まえて始業時間のどのくらい前に会社の周辺にいるのが望ましいか
 ⑤オフィスは何時から開いているか、早めに入って仕事に取り掛かれるか
 ⑥会社の周辺に早めに着いた時にカフェなどの時間を潰せる場所があるか
 ⑦今担当している仕事の例外発生時や緊急時の対応はどうなっているか
 ⑧過去の事例集や問い合わせ対応集などの資料はどこに保管されているか


 ざっとこんなところから始めていくと良いでしょう。
 電車の遅延なんて当たり前に備えておくべきことかもしれませんが、あくまでも一例として。

 経験上、予想外の事も、慣れていけばそれなりに思いつくようになっていきますし、主業務をきちんとこなした上でこうした情報を蓄積していきながらさらに仕事に慣れ、成果と信頼を築いていくことで新しい仕事や役職を任されるようになることにも繋がりますから、面倒がらずに対処した方がよいですし、それが一般的かと思います。

 「いちいち細かい」と思われるかもしれませんが、対策しておけばそもそも予想外の出来事を減らせますし、発生させなくもできますし、通常業務として補える点や補うべき点も見えてくるのです。
 さらに、予想外の出来事に上手に対応し処理したという経験は、実績や自信として蓄積されますので、ある程度対応に慣れてきたら、危機管理やリスク管理という言葉にも触れてみるとよいかもしれません。

 ただ、それも難しくてできないという人は、予想外の出来事が起きてしまったらその場は何とか対応するとして、対応が済んだ後にはその時のことをメモして必ず保管しておき、同じようなことが次に起きたらどう対処するのかを決めておくことです。
 経験と対処法が増えていくほど自分でできることが増えていきますし、より冷静で的確な対処ができるようになるでしょう。