時間の無駄を減らし、毎日を少しでも充実させる方法 メモ

 
 「忙しい割には充実感を感じない」ということがある。
 時代は変わっても、人が一日の中で自由に使える時間というのは実際それほど変わっていないようだ。
 業種によるが、だいたい平日は9時から18時くらいまで働き、休日は家や地域のことをして、それ以外の時間帯に休息を取ったり好きな事をする。
 
 現代には優れた家電製品もできたし、コンビニもたくさんできたし、交通機関も発達してきたし、ネットショッピングもできる。
 それなのに、バタバタと忙しく過ごして充実感を感じないというのはおかしい。
 このままの状態を放っておいてやがて忘れてしまい、年末には「今年も何もできずに一年が終わってしまった」とならないようにするためにはどのようなことができるか。
 
 
 
①やりたいことを絞り込む
 「毎日時間が足りない」と思ってしまうのは、「やることの種類が多すぎる」ことが原因なのかもしれない。
 一昔前はやることも娯楽も少なかったから時間に余裕があったし、ワークライフバランスなんていう言葉もなかった。
 そして、やることが少ないからこそ一つの物事に深く打ち込むこともでき、その充実感も得られた。
 
 現在では、見たい映画もドラマもアニメもいつでも見られるし、世の中にはたくさんの趣味もそれに特化した専門店もたくさんある。
 現実の友人以外にもネット上に友人を作ったりして、SNSを開けばいつでも彼らの様子を知ることができるし、連絡を取り合うこともできる。
 欲しい「もの」だけでなく「データ」などというものまである。
 
 色々なものが溢れすぎて、こうなっては24時間の中に収まりきらず、ゆとりもなくなってしまう。
 ある一つのことで何かを成し遂げても、次から次へと新しく色々なものが出てくるので、充実感もそれなりとなってしまいあまり感じなくなる。
 だから「忙しい割には充実感が得られない」となってしまうのだ。
 
 やりたいことを絞り込むには、次の質問を自分に投げかけてみるとよい。
 
  ・月1000円払っても、それを続けるのか
  ・世の中の人がそれをやっていなくても、自分はそれを続けるのか
 
 もし続けるのなら、「それは自分にとっては価値のあるもの」となる。
 自分にとって価値のないものはやる必要がないのだ。
 こうしたことを少しずつやってシンプルに絞っていけば、最初は辛いかもしれないが、やがて現実世界での体験や人間関係がいかに大切であり、いかにそれらが人生に楽しみや彩りを与えるかということが分かってくるようになるのである。
 
 
 
②瞑想を取り入れる
 「もっとゆったりした毎日を過ごしたい」と思ってしまうのは、一日の流れが細切れになりすぎていることが原因なのかもしれない。
 人は、時間に余裕がなくなると、マルチタスクをするようになるものだ。
 例えばマルチタスクは、「昼食の洗い物をしながら夕飯の献立を考える」とか「会議で人の話を聞きながら議事録を作る」というものがあり、「生活や仕事をする上で効率良く物事を進めるために必要な能力」という一面を持つ。
 
 しかし、マルチタスクが悪い意味で癖づいてしまうと、動画を見ながら食事をしたり、人の話を上の空で聞きながらSNSをやっていたり、人混みでスマホをしながら人をよけて歩く、というような、日常的且つどうでもいいようなことにまで頻繁に脳が使われるようになってくる。
 そうすると、脳の切り替え機能そのものが弱くなったり止められなくなってしまい、何をしていても集中できなくなってしまうのである。
 
 つまり、慌ただしい状態が続くと、マルチタスクになって脳の機能が落ち、頻繁に雑念にかられて強制的に時間が細切れにされ、作業スピードが落ちて進捗も遅れ、時間がなくなる。
 やがて何事にも面白みを感じられなくなって、記憶にも残らないから充実感もなくなる。
 だから、楽しみを求めて「もっと、もっと」となり、また時間がなくなる、という連鎖に陥るのである。
 
 これを解決する方法の一つとして、「食事瞑想」が挙げられる。
 食事中に咀嚼をしている時に、自分の口の中の音に耳を澄ますことに意識を集中するのである。
 意識を集中しても数十秒と立たないうちに雑念に駆られるから、そうしたらもう一度自分の口の中に意識を戻すのだ。
 
 この「意識の往復運動」を繰り返すことで、自分が集中すべきことに向き合う力が強くなり、やがてその時間も長くなっていく。
 つまり、集中力がつくのである。
 これで脳の切り替え能力を自分である程度制御できる力を取り戻せるのだから、それだけでも自分の意思や自発的な行動に伴った充実した時間が返ってくるのである。
 
 
 
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 「時間が足りない」とか「毎日をもっと充実させたい」と思うなら、時間術などを学んだら良いのではないかと考えてしまうだろうが、多くの場合、それは落とし穴になってしまうだろう。
 時間術を駆使してスキマ時間を作ったとしても、そこにまた別の「やること」が入る上にその種類が増えてしまうばかりであり、それではどこまで行っても充実感は得られないだろう。
 
 だからまずは、①やりたいことを絞り込んで、②瞑想をしていくことで、脳の集中力を取り戻すのである。
 時間術を学んで駆使していくのはその後が適切だろう。
 「充実した人生」とか「充実した一年」というのは確かに聞こえが良いが、それらは「毎日を充実させた上で、それを継続していく」という視点がないと達成できないのである。