だらけ癖を感じてきたときの対処


 休息する、リラックスする、と言いますが、「実際それってどういうことなの?」という視点は重要です。
 肉体的にも精神的にも疲れている時に、自宅で横になったり椅子に座ったりして体を休めていても、一日中不安と心配を頭の中でぐるぐると巡らせていたら、脳は休んでいない状態のままです。
もし休日に体を休めているのに頭の中が忙しく考え事を続けていたら、休息はしていないと思った方が良いでしょう。

 肉体的な限界に達している時というのは、本人にも周りにも見るからに分かりやすいものですが、頭の中の忙しさが限界に達していても、本人には気づく余裕すらまずないでしょうし、周囲の人から見たらもっと分からないものです。
 また、既に疲弊していてどうしたらよいか分からない状態になっている人や、休息の取り方なんてやってみたことがない人ほど、ついつい心配事ばかり考えてしまったり、もっと頑張ろうとしてしまうものです。

 実際には、頭の中が休まっていないのに不安や心配で埋め尽くし、さらにそれらを堂々巡りさせて繰り返しているから、普段できていたことも管理していたこともできなくなって、そのことにも気づけずに「自分にはだらけ癖がある」と思っているだけかもしれません。

 一般的に言われている、「適切な睡眠、食事、運動」の時間が確保できていることを前提としてですが、その上で脳を休めるためには次の二つを試してみると良いでしょう。

 

①何か没頭できることをする
 「今ここ」に集中するという状態では、自分が見えているもの一点に集中することになるので、脳は疲れません。
 ですから、例えば、読書、料理、洗濯、掃除、部屋の片付け、手芸やプラモデルなど手先を使うことなどが良いです。
 散歩なども、歩くリズムに「1、2、1、2 」と集中すれば余計なことは考えられなくなりますし、青空や風景や緑や植物などを見渡すことで爽快さや気持ちよさや美しさを感じている時は、頭の中の余計な考え事から逸らすことができます。

 だらけ癖と思っていてもその原因は、「今ここ」ではなく「不安と心配」に集中していただけかもしれません。
 このように、何とかして少しでもネガティブな考えから焦点をずらすために、他のことに没頭できる時間を作るようにすることが大切です。
 ただし、スマホのゲームなど明るいスクリーンを見つめる行為が含まれるものは、かえって脳が興奮してしまうので除外した方が良いです。

 

②何も考えないでボーっとする時間を設ける
 「光るもの」を見るだけで人間の脳は興奮して休めなくなるのに、現代人はスマホにしろパソコンにしろ何らかのスクリーンを見つめる時間が多すぎます。
 また、そういう機器やアプリやコンテンツも、その使用時間を何としてでも増やすために、心理学からマーケティングから科学の研究まで、あらゆる手段を使って策が練られています。

 だらけ癖と思っていてもその原因は、知らず知らずのうちに現代文明の罠にかかっていただけかもしれません。
 ですが、誰かの作った魅力あふれるコンテンツを見続けるだけの時間は、他人の時間を生きていることと同じです。
 しかも、無料のものであれば後々の打撃はさらに大きなものとなります。

 何かの作品を見て感銘を受けたり、推し活をして癒されたり元気をもらったりすることは、確かに大事なことです。
 入り口は無料のコンテンツや広告であったとしても、最終的に作品を見たり推し活していればつながっているので普通の流れです。
 しかし、現物のチラシならいらないものは受け取らないようにしたり捨てて終わりにできますが、スクリーンになると様々な操作を元にして似たようなものを延々と見せられ続けるので、終わりがないのです。

 率直に言うなら、「あなたが自分の人生で本当にやりたかったことに打ち込む時間はどこにいったの?」ということに早く気付くことです。
 その時間を自分の力で増やしたり取り戻したり管理していかないと、やがてスクリーンの見過ぎで「自分が本当にやりたかったことって何だっけ?」と忘れさせられかねないのです。

 そうならないためにも、一日の中で30分だけでもよいので、難しければその30分を何回かに分けてもよいので、ぼーっとする時間を作ることです。
 通勤電車でスマホを触らずに10分くらい目を閉じてぼーっとしたり、お昼休憩の時に15分くらい目を閉じて机に伏せたりして、視界から情報を遮断してみるだけでも随分変わります。
 欲を言えば、不安も心配も情報も、やがて自分で上手に取り入れ、活用し、断ち切ることができるようになるのが望ましい状態ですが、先ずは何よりも、少しでも脳を休める時間を工夫をしながら作り、頭も体も元気だった今までの自分を少しずつ取り戻していくようにすると良いでしょう。