感情が高ぶって抑えられそうにない時にできる対処 メモ

 
 感情が不安定な状態、衝動性が抑えきれない状態、つまり、カッとなったりイライラしたり、居ても立ってもいられずじっとしていられないような時には、どうしたらよいか。
 感情や気分が不安定であり、何か強い衝動を抑える力が弱い状態にある時はどうしたらよいか。
 
 基本的には、脳の神経伝達物質のセロトニンが下がっている状態であり、ドーパミンやノルアドレナリンを制御し精神を落ち着かせるという働きが作用していない状態である。
 だから、感情のコントロールも衝動の抑制も利かないということになってくる。
 セロトニンが高まっている状態であれば、カッとなっても我慢することができるし、そもそも感情が落ち着いているからイライラしたりムシャクシャしたりしないので、感情が制御できないなどということにはなりづらい。
 
 
 
 最初にできる対処としては、一日の基本的な活動と睡眠のサイクルを正常化することである。
 中でも睡眠時間が真っ先に対応することであり、朝決まった時間に起きられるようにすること。
 起床したら日光を浴びながら散歩や軽いジョギングなどをしてセロトニンを高めていくこと。
 
 次に、日中以降、特に夜中に突発的な衝動に駆られた時は、筋トレをすることである。
 イライラして眠れなくていてもたってもいられなくなったら、とりあえず腕立て伏せを20回。
 それで収まらなければ腹筋を20回、まだ収まらなければスクワットを20回やる、といった具合で、運動で発散してみるのが良いだろう。
 
 「それでは覚醒して起きてしまい、眠れなくなってしまう」と思うかもしれないが、案外そうでもないことも多い。
 そもそも感情の高ぶりで覚醒して眠れなくなっているのだから、そちらの方がより重症な過敏な状態であるはずだし、運動して少し疲れた方が眠りにつながる。
 さらに言えば、筋トレで体がキツくなっている時に悩み事とか恨み事とか、余計なことは考えられなくなるものなのだ。
 
 
 
 運動をすれば、不安をはじめとした感情の乱れは抑えやすくなる。
 なぜなら、不安の正体は「扁桃体の興奮」だからである。
 「人間の本能として戦うか逃げるかを瞬時に選択させる」というのが大昔からの役割だったそうだが、それに沿って言うなら、要は「さっさと何か行動しろよ」という、「脳からの指令」というのがその正体の中身なのである。
 
 だから、感情が抑えきれないような状態の時に黙ってじっとしていたり、寝転がったり座ったままでいれば、不安や苛立ちは一層強まってしまい、衝動に突き動かされて取り返しのつかない行動をしてしまうかもしれない。
 だったら、別の行動でその衝動を置き換えてしまうほうがよいのだ。
 
 腕立てでもスクワットでも、呼吸を整えながらゆっくり20回やってみればそこそこ筋肉に負荷がかかるから、そちらの方が気になり始めるためストレス状態もだんだんと正常な値へと下がっていくことだろう。
 筋トレでなくリズム運動をするなら、セロトニンも活性化して不安の暴走を抑えることもできるだろう(筋トレもリズム運動のうちと言えるだろうが)。
 
 
 
 注意点としては、筋トレをやるなら10回ずつで一区切りして、30秒から1分程度のインターバルを空けて、まだ気持ちが収まっていなかったらもう10回やるということを繰り返し、ある程度疲れたら一旦やめて一息ついてリラックスをすることだ。
 筆者がまだ20代の若かった頃、どうしても悔しさや苛立ちを抑えきれず、「あの野郎、この野郎、ちくしょう」と感情を爆発させながら筋トレをしたら、気付かないうちに体が動かなくなるまでやれてしまい、筋肉に多くの血液を持っていかれて脳貧血状態になった上に、その後も翌日以降も、体が碌に動かないという有様になってしまったことがあった。
 読者の皆様におかれては、そのような愚かなことはするはずもないだろうが、感情や勢いに任せて暴走してしまいそうな時ほど、一呼吸置いたり、深く呼吸を整えたり、休息をとったり、平常心でいる、といったことが大切になるのである。
 
 ただ、「何もしないでいると不安や焦燥感は強まる」ということは覚えておいた方がよいだろう。
 体を動かすことで少しでも他のことに気を背けることが重要であり、その上で実際に脳内物質のバランスも整ってくるので、そこで初めて感情も落ち着きを取り戻していくことになるのだ。
 そうして体を動かし終わった時には、間違いなく不安や衝動の感情は減っていることが分かるだろう。