自分の機嫌は自分でとり、不機嫌な人を見て我が振りを直す方法


 社会に出て人と関わっていれば、すぐに不機嫌になってしまうような人とは出会うものです。
 また、ちょっとしたことで怒りっぽくなったり、イライラしたり、そうした感情が言葉や態度になって表れやすい、ある種の「我慢に弱い人」というのもいます。
 なぜそういう人はそういう感じになってしまうのか、そして自分に伝染しないようにするにはどうしたらよいのでしょうか。

 今自分が辛いからといって、不機嫌になって周りの雰囲気を悪くしたり、周りを巻き込むほど横暴に振る舞ってもいいという理由にはなりません。
 その人が今辛いのも、頑張っているのも、周りの人は分かっているし知ってくれていることでしょう。

 どんな人でも皆同じように、それなりに人生を積み重ねていればそれぞれの環境で似たようなことを経験しているものなのです。
 多くの場合は色々ある中で、不機嫌になってしまうような厄介なストレスになるものを、時には自分で捌ける力を伸ばしたり、新しい解決策を見つけ出したりしながら、歯を食いしばってなんとか乗り切っているのです。

 手っ取り早く言ってしまえば、せめて「自分の機嫌くらい自分でとれ」という話なのです。
 しかし、 また、自分で自分の機嫌を取ることに慣れていなければ、それが自分に起こっても相手に起こっても、どうして良いか分からずに対応に困ることもあるでしょう。
 また、「自分の機嫌は自分で取るもの」と思っていても、今までに経験したことがないような思いもよらないことが起きたら、それが原因で不機嫌になってしまうこともあるかもしれません。

 現実的に考えても、相手が不機嫌になったからといって「はいそれまで」というわけにもいきませんし、そのようなことをしていたら自分自身の人格や度量も磨かれません。
 物事には限度がありますが、こうした点については心に留めておかなければなりません。
 ですから、いくつかだけでも良いですから、原因や対処法になりそうなことを知っておいた方が良いでしょう。

 

①不機嫌な人に気を遣い過ぎない
 まず、その人の機嫌を取るのはその人自身がやるべきことであって、あなたがやらなければならないことではありません。
 もしその相手が親しい人や大切な人で、且つあなたに余裕がある時なら、優しい言葉をかけたりその場で何かできることをして支えてあげるのも良いでしょうが、特に親しくもないのであれば必要以上に気を遣わない事です。
 基本的には「私と何かやり取りしたいのなら、先に自分の機嫌くらい自分で何とかしてきて。」というくらいの気持ちでいないと、いいように使われかねません。

 

②自分自身を大切に扱う
 世の中にはなぜか、自分を大切に扱ったり、幸せになることに遠慮をする人がいます。
 しかし、こと自分自身の機嫌を取る事は、遠慮したり、サボったりしてはなりません。
 やるべきことを達成したり、何か良いことをして役に立ったりしたら、自分に欲しいものを買ったって良いし、おいしいものや好きなものを食べることで幸せな気持ちになったりするように、自分を労りながら楽しい時間を過ごして良いのです。

 そうして自分の機嫌を良い状態に維持しておくようにすることで、世の中の見方も少しずつ変わってきますし、人生も良くなっていくものなのです。
 ですから、たまにはやりかった事を全力で楽しんだり、贅沢したり、幸せに過ごしてよいのです。
 そのように自分自身に許可を出し、自分の機嫌を自分で取れるようになっていくことが大切なのです。

 

③心から楽しいと思える事に時間を使う
 好きな事をする時間は、自分の気力や心を満たすことにつながります。
 ですから、自分にとって良い時間を自分のために使う事をためらわないことです。
 自分の好きなことや遊びを楽しんで良いし、好きな場所や気持ちが落ち着ける場所に行ってこそ心のエネルギーも充電できるというものです。

 あまりにも使わなすぎると、経験値も知識も自信も、得られたはずのものが得られなくなっていきます。
 そのため、本来ならうまくいくはずだった物事も「そうならない」ということが起きてしまいます。

 

④笑顔でいる
 大体の人間関係において、周りの人は自分自身を映す鏡だと言えます。
 自分が笑顔で接していれば相手からも笑顔が返ってくるものですし、その反対に不機嫌でいれば距離を置かれたり、それなりの対応をされてしまうものです。

 笑顔でいるには、好きな人や、気に入っている人や、親しい友人などとの時間をしっかり作っておくことです。
 また、鏡を見て自分の笑顔を確認したり、笑顔を作る練習をしても良いでしょう。
 ちょっと言いづらいですが、自分が「100点満点の笑顔」と思っていても、相手に伝わらなければ周りから見て40点くらいの笑顔かもしれませんし、であれば形から入るのだってアリだと思います。

 ところで筆者が若い頃、口角を上げる練習をしていた女性がいたので、「自分も口角を上げてみたいからやり方を教えて」と教わったことがあります。
 しかし、それまでほとんど使っていない口角挙筋を動かすことになるので、最初は意識してもなかなか動かないし、動いたとしてもたった数回のトレーニングでその箇所がプルプルと痙攣を起こすほどの有り様でした。
 「印象の良い笑顔ってどんなのだろう?」と研究し実際にやってみることは、それだけで価値があることです。
 
 世の中、好意的な態度の人は好かれ、攻撃的な態度をとる人が嫌われるのは当然のことです。
 最初は「物凄く印象の良い作り笑顔」だったとしても、そのうち板についてくることでしょう。
 誰も見ていない自分の部屋で一人で笑顔の練習をしたって、そうすることでほんのちょっとだけでも機嫌が良くなるのなら、そう見えるようになるのなら、いいじゃありませんか。
 


➄疲労が溜まっているなら解消する
 肉体的な疲労と精神的な疲労の両方が考えられるので、睡眠時間を多くとったり、リフレッシュやリラックスができることをすると良いでしょう。
 内容は、マッサージやエステなどをはじめ、アロマを使ったり寝具を変えるなど部屋でできることや、入浴、サウナなど様々あると思います。

 体が疲れていると、自分がスッキリしていないこともありますが、「疲れた、疲れた」と言いやすくなって周りの雰囲気を下げてしまうとか、心に負荷がかかっているとちょっとしたことでイライラしてしまうことも起きてきます。
 ですから、疲労の感覚があまりに強く残っているという人は、万全な健康な状態とは言えないでしょうから、早めに解消した方が良いでしょう。

 普通は、ある程度健康なのであれば、少しくらいのネガティブな感情に対して「我慢強さ」を発揮して、上手く対処したり別の軽減させたりできるはずです。
 しかし、疲れが溜まってくると、こうしたことができなくなってくるのです。
 ちょっとしたネガティブ感情なら、少し休憩したり、数時間くらいの時間を空けたり、翌日になったりすればケロッとしているくらいで済むことも多いですが、そのレベルのうちに解消できるものはしておいた方が良いでしょう。

 

⑥セロトニンが低下している
 セロトニンは感情をコントロールする物質と言われていて、脳の働きや気分が不安定なものを安定化させる働きがあり、セロトニンが低下してしまうと脳がうまく働かなかったり、感情が暴走したりしやすくなってしまうと言われています。
 要は、怒りっぽい人はさらに怒りっぽくなったり、イライラしてる人はさらにイライラしたり、落ち込みやすい人はさらに落ち込んだりする、ということになります。

 セロトニンがしっかりと出ていれば感情のブレーキやアクセルのようなものがうまく働き、低下していくとこれが効かなくなってしまいます。
 さらに酷くなってくると、今風に言えばキレやすくなったり、衝動的な行動を取りやすくなったりする、という連鎖が起こってきます。
 下がったセロトニンを高める方法としては、しっかりと睡眠時間を確保した上で、朝に日光を浴びながら散歩するとか、それに合わせてリズムよく歩くなどのリズム運動をしたり、適度に汗をかく運動や筋トレなどをすると良いと言われています。

 

⑦規則正しい生活ができなくなってきていないか見直す
 ➄⑥に引き続き、睡眠不足、運動不足を振り返る時、「不規則な生活」についても見まわしてみると良いです。
 簡単に言えばこれらの逆をやると良く、7時間から8時間は睡眠を取り、週に数回汗をかく程度の運動をし、早寝早起きをしたり三食ちゃんと食べたりするのです。

 睡眠時間が6時間以下になると、感情が不安定になったりイライラしやすくなったり、食欲が暴走しやすくなると言われています。
 きちんと睡眠を取れている人は、個人差はありつつも余裕を持って様々な対応ができるし、感情も安定しているものです。
 朝早く起きて散歩をしようと思えば、夜更かしせずにしっかり睡眠を取らなければできないことなのです。

 また、運動不足の状態は、体を動かすことで発散できていたイライラやストレスが溜まるし、適度な疲労で眠気が出るという体の働きも弱くなる上、夜更かしをすれば体内時計がズレるので、精神的にも身体的にも様々な問題が起きてくるでしょう。
 変わり映えのない毎日を繰り返すのは嫌気の一つも差すのでしょうが、それは毎日を「朝は同じ時間に起き、夜は同じ時間に寝る」という規則正しい生活を繰り返すこととは別であり、規則正しい生活を送ることの方が圧倒的に大切なのです。
 なお、生活リズムを修正するための最初の一歩としては、まずはゲームやスマホやテレビなどの夜更かしをする時間から減らしていくのが良いです。

 

⑧他人の気持ちも少しは理解する
 自分のすべきことや、幸せになるためにやるべきことをこなしていく上で大切なのは、次のようなことです。
 ・人の気持ちや痛みが分かる
 ・人の成功を自分の事のように喜ぶ事ができる
 ・人が困っていたら手を差し伸べることができる
 ・周りの人を安心させられる
 ・周囲や助けてくれた人、世話になった人への感謝を忘れない

 ただし、自分の事がないがしろになっていたら、当然周りに対して何かすることもできないでしょう。
 自分のことがままならなかったり、自分の足が地についていないのに他人のことばかり気にして優先していると、いい様にされて終わりになるでしょう。
 まずは、しっかりと自分の土台を作りつつ、他人の気持ち「を」ではなく、他人の気持ち「も」とか「他人の気持ちも、時には」くらいの段階からでもよいので、少しずつ挑戦してみることです。

 

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 上に挙げた項目以外にも、不機嫌なのは「今何とかしたいと思っていることが全然うまくいっていない」とか、「誰かに受け入れて欲しかったのに受け入れてもらえなかった」という理由などもあるかもしれません。

 また、いつ自分自身が不機嫌な状態に陥って、心も体も上手くコントロールできなくなるかは分かりません。

 しかしそうなった場合には、まずは上の項目を思い出して、自分の体調、疲労、感情を確認し、心身を整えていくことです。

 そして、疲労を溜めないようにして、日々の疲れをしっかり回復することに務めていくことで気分を安定させて、仕事でも人間関係でも円滑に進めていかれる状態に早く戻していくことが大切です。