ちょっとしたことで失敗してしまったり、まったく想定していないのに悪いことが起きてしまうということは、誰にでもよくあることです。
ただその時に、最初に口をついて出る言葉がネガティブ過ぎると、その後に起こる現実の出来事にも良くない捉え方をしてしまうでしょう。
人は、言葉の影響を受ける生き物ですから、ポジティブな言葉を使えばポジティブな気分に、ネガティブな言葉を使えばネガティブな気分になります。
当然、自分を下げる言葉を自分に向けて使っていれば自信がなくなっていきますし、他人の悪口ばかり言っていれば他人の悪い所にばかり注目することになります。
まずは、他人のことは一旦横に置いておき、「今の時点の自分自身や起こった事実について一旦肯定できる言葉」や、「ニュートラルな状態になれる言葉」に置き換えていくことです。
そうすれば、元々の気持ちよりも前向きになれるとまではいかなくても、ひどく落ち込んで無気力な状態が続くなどということは避けられるでしょう。
人の性格や気分やメンタル面などのことは、自分が発する言葉によって作られています。
自分は「前向きになりたい」とか、「自分のことを認めたい」とか、「明るい人になりたい」などと思うのであれば、口癖だけでも、形だけでも、ポジティブで明るい言葉を多く使うところから入っていくと良いでしょう。
①しょうがない
一見、ネガティブな言葉として捉えられることもある言葉です。
しかし現実として、起こった事実に対していつまでも落ち込んでいても仕方ないのです。
例えばモノが壊れてしまったにしても、モノはいつか壊れるものですし、多くの場合は壊れてしまったらもう元には戻りません。
ただ、世の中には上手に修理をしたり少し形を変えてよみがえらせてくれる「修繕のプロ」がいますので、本当に大切にしていたものであればこの先頼ることもあるでしょう。
しかし、一般的な物事や自分ではコントロールできない物事の多くには「しょうがない」としか言いようがないこともありますから、そういう時は「しょうがない」と言って一旦区切り、気持ちを次に切り替えた方が良いのです。
②まあいいか
決して諦めの言葉という意味ではなく、もう済んだことに対して後悔し続けても意味がないということもあるのです。
この後延々とその済んだことを思い返して嘆いていても、現実は何も変わらないことでしょう。
しかし、「まあいいか」と言うことで、そこで気持ちを一旦切り替えたり終わらせたりという、一区切りをすることができるのです。
起きてしまったことは仕方がないので「まあいいか」と切り替えて次に進む。
或いは、例えば何かに失敗した時なら「それでいい」、「今の自分でいい」、「今の自分の実力ならそんなものだろう」、「今の自分の実力でもここまでやれた」などと、今の自分で精一杯できたことを認めたり、一旦は自分を肯定する言葉を言うとよいです。
これが、「これじゃだめだ」とか、「こんな自分じゃだめだ」というネガティブな方向にばかり進んでしまうと、それがストレスの原因になり自分で自分を傷めつけることに繋がりかねません。
それに比べたら、「まあいいか」と受け流すのは何倍も前向きな言葉であると言えます。
③それはそれとして
起こったことに対して時間を戻してやり直すことはできないので、「ではそこから先をどうするか」と切り替えた方がよいこともあります。
「物が壊れてしまったら落ち込む」というだけではなく、それはそれとして保険に入っていたか、代用できるものがないか、安く修理できるところはないかなど、何か対処があるものです。
疲れてやる気がなくなった時も、怒られて少し落ち込んだ時も、「それはそれとして、ご飯を食べよう」とか「それはそれとして、5分間だけ掃除をしよう」などというように何気なく切り替えることができます。
なんとなく座ったまま気持ちが切り替わるのを待つことほど無駄なことはないのです。
さらに、自分も周りも誰も悪くない時などは、もう過去になったことに固執しても何も良いことはありません。
起こったことは過去の出来事として一旦置いておき、「それはそれとして」と言って次の行動へと切り替えることで、「しょうがない」よりももう少し前向きに進めるようになれることでしょう。
嫌な事に囚われ続けるのではなく、そこから前向きに切り替えるためにも「それはそれとして」という言葉を使うとよいです。
また、文脈上ほとんど同じに扱えるようなことであれば、「でも」を使うのもよいでしょう。
「あー失敗したー」の後に「それはそれとして」、「でも」とすぐに言うようにすれば、その後に続くはずのネガティブな言葉は強制的に変更されることになります。
「でも、それはそれとして」というのでも構いませんから、気持ちをより切り替えやすくできる言い方をしてみるとよいでしょう。
④そういう人もいるよね
自分に対して悪口を言ったり攻撃をしてくる人というのは、もし自分の周りに人が10人いるとしたら、その内の1人ぐらいはいるものです。
しかし残りの9人の中には、あなたのことを心配して悪口を言われていることを親切に教えてくれる人もいます。
もしそれを聞いたら腹を立てずに「教えてくれてありがとう、そういう人もいるよね。」と受け流してしまうのがよいでしょう。
「悪口を言う」というのは、ネガティブな言葉や過去の体験などの悪い面を、何度も思い出したり口にすることによって強化していく行為です。
ですから、悪口を言うとストレス解消になるということはありませんし、あったとしても気のせいです。
自分の人生の貴重な時間を使って他人の悪口を言っている暇などないのです。
もし、自分に直接悪口を言う人に出会ってしまうことがあったら、「残念な人がここに一人いた」と心の中で思っていればよいのです。
10人の中の1人が悪口を言う人なら、残りの人達の中にはあなたに好意を持っていたり応援してくれる人も1人や2人はいて、他の人達はどちらでもないものです。
人から悪口を言われたからと言って自分も同じように悪口を言ってしまうのではなく、自分に好意的な人達の方を3人、4人と増やしていくことの方が大切なのです。
その人達と一緒に過ごす時間の方を、前向きに一生懸命作り、使っていくことです。
それを考えれば、そもそも他人の悪口を言っている暇などないのです。