悪口を言うことの影響について メモ

 
 悪口を言うことは、そのこと自体が自分の脳に記憶を定着させてしまう。
 一見、「悪口でも自分の口から出せばスッキリする」というように思われているのかもしれないが、そうともならない。
 また、悪口に限らず、怒られただの、失恋しただのというネガティブな発言も、一週間のうちに何回も言ってしまうと記憶に定着してしまうのだ。
 
 そうすると、何ヶ月もの間忘れられなくなってしまうことになるが、それでもどうしても言わなければ気が済まないという気持ちが募る場合もあるので、その時は一度だけ言うに限り、何回も言わないことである。
 ネガティブな発言にだってストレス発散の効果はあるだろうし、「絶対に言ってはならない」と決めつけてしまうと、それが気になってかえって大きなストレスになってしまうだろう。
 
 要は、一回だけ言って、後は忘れてしまえばよいのだ。
 その方が、「ネガティブな発言をすることで自分の頭の中身を書き換えて継続しまう」ということを防ぐことにもなるのだ。
 一回だけ言って、後は同じことを繰り返さないようによくよく振り返ってみて、また前を向いて進んで行けばよい。
 
 もし、悪口や愚痴を聞いてくれる友人に悪いと思うなら、独り言で言って終わりにするなり、紙に書いて捨てるのもよいだろう。
 
 
 
 「悪口を言う」ということは、その人の悪いところを見つけ出すということである。
 しかし、実際にそうする前に、一旦客観視をしてみて、さらにそれを俯瞰してみて、「そのことは自分のこれから先の長い人生において必要なことなのか」と落ち着いて見てみるのもよいだろう。
 悪い生活習慣というのは、どこからどう見たって悪いからである。
 
 そして、悪いところを発見する習慣が身に付いてしまうと、気づかないうちにそれが自分にも向いてしまうものだ。
 やらなくたっていいのに、自分自身の失敗や欠点などを根掘り葉掘り見つけ出して、何度も何度も反復して思い返して磨き上げていることになる。
 
 人生では他にも練習したり磨き上げたりすべき大切なことがあるのだから、悪口の練習なんて積み重ねなくてよいのだ。
 悪口の練習を積み重ねて、マイナス面を見つける力を鍛え上げている人は、少し失敗したくらいで自責して落ち込むことになるだろう。
 そういう人に限って、悪口が大好きだったりするのだ。
 
 仮に一日のうちに10個の出来事があったとしたら、半分は良いことがあり、もう半分は良くなかったり辛い思いをすることがあるものなのだ。
 日常生活にしたって仕事にしたって何か活動しているのだから、誰にでもそのようなことが起こって当たり前なのだ。
 
 
 
 さて、あなたは一日に3つのことを思い出すとしたら、何を思い出すのだろうか。
 もしできるなら、一日に3つの「良かった出来事」を思い出してみるとよいだろう。
 そうすれば一日の中で5つあった良いことのうち3つを思い出すのだから、より良い3つの出来事を中心に感じて生活したことになる。
 
 楽しかった3つを思い出せば、幸せな一日として終えることもできる。
 辛かった3つを思い出せば、ひどい一日を生きたことにもできる。
 簡単に言ってしまえばそんなものであるが、これを今日も明日もやるのか、一週間続けるのか、一箇月続けるのか、一年続けるのか、ということである。
 
 もしも辛かった人生ばかりカウントしていたら、この世の生活を終える最後の一日の中でとても良いことが起きたとしても、全体的に見れば幸せな人生を送れたことにはならないだろう。
 
 同じ人生を歩んでも、最高に幸せな人生だったか、最悪で不幸な人生だったか、というのはかなり大きな違いだ。
 物事の見方や考え方を切り替えてみて、良い面に注目するようにしていけば、誰でも今日から幸せになれるのだ。
 悪口を言わないようにするというのは、その最初の一歩になるのである。
 
 
 
 これからは、悪い面ばかり見る練習は一旦横に置いておき、今日あった良いことに自然と注目してしまうような生き方にしていく、と決めた方がよい。
 悪口を言い続けながら、一日の最後だけは「今日は楽しいことでいっぱいで幸せだった」とはならないからだ。
 
 自分に対してでも、他人に対してでも、悪口を言うことが習慣になっているような人は、「悪口は、相手を攻撃しているようで、実際には自分を攻撃している」ということに早く気付くべきなのだ。
 
 人間の脳にある扁桃体というものは、「主語を理解しない」という話をよく聞く。
 危機的な察知をした時などに興奮し、戦うか逃げるかの本能を引き出すと言われていることが今のところ明らかにされているが、それは進化の過程における名残りで人間にもあるとされ、魚類や爬虫類などにもあるそうだ。
 
 そして、他人の悪口を言うということは、主語を理解しない脳の扁桃体では自分の悪口を言われているのと同じように認識するというのである。
 であれば、他人の悪口もそうだが、特に自分自身にネガティブな発言を向けるのはやってはならないだろう。
 
 
 
 悪口を言うことは、自分の頭の中をネガティブな考えで上書きし、物事をマイナスに捉えてストレスを増やすことになる。
 その結果、精神面にも人付き合いにも影響してくる。
 長く生きていれば誰にでもそれ相応に辛いことはあるものだが、悪口はできれば言わないに越したことはないだろう。