見習わない方がよい人


 生きていれば、「この人は苦手だなあ、敬遠したいなあ」と感じる人が一人くらいはいるものです。
 実際のところは逃げてばかりいるとやがて一人になってしまいますし、社会に出てうまく立ち回る力もつきにくくなってしまうというマイナスの面もありますから、ある程度は嫌な思いをしても耐性をつけていった方が良いでしょう。
 しかし人間ですから、度が過ぎるものについてはやはり避けたい、離れたい、距離を置きたいと感じる時もありますので、そうした時は「上手に立ち回る練習」と考えた方が良いかと思います。

 

①自分のことを下げてくる人
 同じ集団にいて、こちらの自尊心や自信を壊そうとか下げてやろうとしてきたり、「自分には価値がないのかもしれない」とか、「私はなんてダメな人間だ」などと思わせてくる人とは縁を切った方が良さそうです。
 一緒にいる人の価値も分からず、考えようともしない人は、もしそれがその人の一時的な心の乱れではない且つ既に立派な大人なのでであれば、一緒にいればいるほど自分で自分のことを嫌いになったり人生が楽しくなくなったりしてしまいますから、「この人は自分と一緒にいる資格はない」と割り切って勇気を持って決別する覚悟も必要です。

 相手を下げて自分が勝つという行為は、何かの競技などであれば戦略的に必要な場合もありますが、一般的な生活の上をするでは必要のないことですし、人の恨みを買いかねない行為となります。
 本来ならば、自分の力を磨いて、より強く、より賢くなることを優先させた方が良いことは言うまでもないことですし、相手のことを下げる、例えば悪い噂を拡げたりレッテルを貼るというような簡単な行為に走ってしまうことは、その人自身の立ち位置が今よりも高くなるかといえば、まったく変わらないか、むしろ後々下がる行為となるのです。
 要は、ダメなのはこちらではなく相手の方なのですから、こちらがわざわざ下に下がってあげる必要はないのです。

このタイプは他の例として、以下のようなものがあります。
 ・あなたのパフォーマンスを下げる者
 ・あなたの自由を奪う者
 ・あなたの可動域を制限する者
 ・あなたを不安に陥れる者

 長く生きていると、残念ながら敵と見做さざるを得ない人とも出会ってしまうことがありますが、あなたが敵から身を守るためには、あなた自身が考え方と行動を変えるしかありません。
 ただし、先程も触れましたが、相手も人間ですから、その人の一時的な心の乱れということもあるでしょうし、「これから良くなりつつある人」という可能性もありますから、その点は頭の中の片隅でよいので持っておくことです。
 なぜなら、自分自身も「これから良くなりつつある人」だからです。

 

②馴れ馴れしく接してくる人
 過去の王や皇帝などの権力者たちは、自らの権威を示すため「距離」を道具に使い、自身の存在に対する威厳や神秘性を高めていたそうです。
 例えば、一定の距離までしか近づけない、側近の者を通じないと直接話せない、などがそれです。

 その意味で言うと、さほど親しくもないのにベタベタと距離を縮めてくる相手はあなたのことナメている可能性が高いので、毅然とした態度をもって距離を置くべき人でしょう。
 あなたに威厳や権威を感じていたら、そう簡単には近づけないはずです。
 もっとも、あなたの「他人とそこそこ普通に接することができる」という対人能力が、周囲から見て著しく低いようでしたら、相手に気を遣わせているのかもしれませんが。

 歴史上の権力者の話でなく普通の一般人のありふれた社会だって、普段の友人や親しい人のような間柄ですら、一定の気遣いや距離感などに配慮して接するのが当たり前です。
 もしその気配すら感じられないというのであれば、心の警戒を解くのは待った方がよいでしょう。

 

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(余談)
 ②の馴れ馴れしく接してくる人については、誰かを経由して自分にお願い事や伝言(=指示・命令)をしてきたり、その相手が自分と直接接する時に突然馴れ馴れしい態度をとってくる場合があり、筆者にも経験がありました。
 済んでしまえば、自分の手を汚さずに人を動かそうとする人というか、お見通しされちゃう戦略家タイプというか、まあ、表に出るのが怖い臆病な方だったのだと思います。

 この場合はかなりの確率でこちらの方が相手を上回る何かを持っていたり、相手が一目置いていて「いい様に使ってやりたい」として取り込もうと考えていることがほとんどなので、あなたの良さや能力を無駄にしないためにもその相手とは距離を置いた方が良いです。
 伝言役には、伝言役の後にはもっと面倒な役をやらされる旨を伝え、どちらに寄り添った方が得かを暗に分からせた上で、使えそうならこちらに引き抜き(むしろ、いわゆる「イイ人、カワイイ人」が既にやられていることが多いです)、そうでなければその相手と同じタイミングで一旦切ってしまうと良いでしょう。

 出元の分からないお願い事を安易に引き受けることは、「何でも言うことを聞いてくれる、責任を押しつけてもよい、遠隔操作ができる馬鹿」であることを周りに晒す行為となりますので、注意しましょう。

 筆者はこれに一度だけでなく何度も引っかからなかった上、 (中略) その相手の方からは大変嫌われてしまったようですが、最終的には他の心強い人達が自分の周りに残ってくれたので、かえって良い結果となりました。
 相手の方は、きっとどこかで何かをしているのでしょうが、もう出会うことはなくなってしまいました。

 「大変な時期を乗り越えて次のステージに進むと、その相手や同じようなレベルの人人とは出会わない世界になる」というような話は、若い頃に自己啓発や成功関連の本を読んでいた頃に何度か見かけましたが、アレはどうも本当なんじゃないでしょうか。

 結局のところ、他人のことよりももっと自分に関心の目を向け、自分の強みを伸ばしたり、勉強して新たな知識をつけたり、高潔さや誠実さを身に付けるといった、自分の人生に大切な知識や技術や価値観や人間性を磨いていくことに対して今できる行動と時間を集中させ、一心不乱に取り組んだ方がよいのです。