相手の批判に対処するための方法。
1. 反射
2. 分散
3. 質問
4. 延期
5. フィードバック
1. 反射
反射とは、相手の批判や主張を一言に要約して返してあげることを言う。
・「○○と言いたいんだね?」
・「要は○○って言うことだね?」
・ポイント
①とにかく返答をして、相手優勢の流れを止めること
②相手の主張を否定も肯定もしていない状態であること(相手の批判を「要約している」だけ)
相手がどの程度いらだっているのかを探り、要約して返したときに、相手の勢いが全く収まらない時は要注意。
その時は、相手の興奮が冷めるまで様子を見て、引き続き相手の話を聞きながら、キリのいいところで要約して相手に返す。
これを繰り返し、相手のいらだちや怒りが収まるのを待つこと。
2. 分散
分散とは、相手の主張を小さく分散させ、その一部についてのみ認めることを言う。
・ポイント
①小さな部分から少しずつ相手の心をほぐしていくこと
②相手からの攻撃で受けたダメージを最小限にとどめること
③自分に非があっても、それは非として認めつつ、主張すべきことはきちんと主張すること
分散の戦術は、広い意味で「個別撃破」と言える。
大きな障害を前にしたら、まずは小さいところから徐々に切り崩していくというのが戦いの基本。
相手が有利な展開だからといって、この後何をされてもいいというわけではない。
戦況が不利なときこそ、これ以上被害が拡大しないように応戦していかなければならない。
相手の主張の「全部」とがっぷり組まないこと。
決して全面降伏しないこと。
3. 質問
質問とは、「どうしてそう思うの?」と、その理由などを掘り下げて聞くことを言う。
また、「ど」で始まる質問は、相手の答えられる範囲が広いことが多い。
・「どうしてそう思うの?」
・「なぜ、そう考えたの?」
・「どこで」「どんな」「どうやって」「どうして」「どんな時」
・ポイント
①オープンクエスチョン、クローズドクエスチョンを使いこなすこと
②反論する前に、「あと少しだけ聞く」こと
・オープンクエスチョン
(1)反論する時
「でも」と言う前にあと少し聞くだけで、相手との距離はグッと縮まっていく。
その後すぐに、「ど」で始まる質問をするとよい。
(2)相手の話の流れを何としても止めたい時
相手がぺらぺらとしゃべり始めたら、短めの質問を投げかける。
「どうしてか?」「どんなときにそう感じるか?」など
相手が一通り話し終わり、オープンクエスチョンで答えられる内容がなくなったら、今度はクローズドクエスチョンを投げかけてあげる。
・クローズドクエスチョン
「はい」「いいえ」で答えられる質問のこと。
少し考えさせることによって、相手の勢いを削ぐことができる。
4. 延期
延期とは、時間を延期することを言う。ただ単に「延期」するだけ。
・ポイント
①相手を待たせて自分が優位に立つこと。
②とにかく即断を避け、「考えさせてください」と言うこと。
③相手には「受け入れられている」と感じさせること。
実際には「雰囲気に飲まれてしまう」ということがよくあるので、
一旦クリーニングの時間をおいて、相手の主張や要求をじっくり冷静に考えて見ることが大切。
しつこく早急な結論を迫ってきたとしても、「話しはとてもよくわかりました + 延期」をすること。
5. フィードバック
フィードバックとは、相手の状態を大きな目で評価して、その評価を再び相手に戻してあげることを言う。
・ポイント
①相手の状態を再認識させること
②批判的にとられないような言葉を使うこと
③「言い方」について言及すること
自分の状態というものは目に見えていないことが多く、実際議論の場では、ほとんどの人がハッとして、つい動きが止まってしまい、同時に気恥ずかしさを感じて、何も言えなくなってしまう人が多いこともよくある。。
また、負けそうになっても、とにかく「言い方」について言及すること。
それが議論である限り、批判的な言い方になっているのは当然なので、言い方を問題にすれば、必ず反撃できる。
火に油を注がないようにするために、シンプルかつ、批判的にとられないような言葉を使うこと。
フィードバックの例
①広い意味で相手の状態について口に出すことで、相手に再認識させる
・「今のあなたは、怒っている」
・「声が大きい」
・「あなたはさっき○○と言っていたけど・・・」
②相手の言葉の内容そのものについては否定せず、側面から攻撃する。
・「おっしゃることはわかりました。ただ、そんな言い方をされなくても・・・」
・「確かに分かります。でも、そんなにいっぺんに言われてしまうと・・・」
③間接的に相手の話し方を指摘する
「すみません、ちょっと聞き取りづらくて・・・」
「ごめんなさい、もう少しゆっくり話してもらえますか」
現実的には「4」の「延期」までが、相手の主張を包み、怒りを柔らかくする方法であり、最低限度のリスクを抑える方法であり妥当と思われる。
力に力をぶつけるのは簡単であるが何も生むことはなく、これまでに築いた大切な関係を壊すのは一瞬でも、後悔は長い間続く。
たとえ自分が優位であっても、人としての基本は忘れないことが大切である。