嫌な記憶を忘れるには

 
記憶が残る理由は脳科学的にも証明されており、
喜怒哀楽が刺激されると色々な脳内物質が出て、
その脳内物質が記憶増強作用を持つためである。
 
怒りの時はアドレナリン。
不安や恐怖の時はノルアドレナリン。
幸せな時にはドーパミン。
 
だから、何かを言われて激怒したり、怒られて不安や恐怖に駆られる、
といった記憶は残りやすく、そうそう忘れられないものになる。
特に災害などの恐怖では、夜も眠れなくなるほど圧倒的に記憶が増強される。
 
例えば、何年も前のトラウマを忘れることは難しいと言われているが、
それを忘れようとすればするほど記憶が蘇ってきて追体験することになり、
余計に記憶が強化されてしまうということがある。
 
だから、現実的にできそうな対策をあげるとするならば、以下の二つが挙げられる。
 
 ①全く関係ないことを始めたり、新しい挑戦や経験をして、乗り越える。
 ②ツァイガルニック効果を利用する
 
 
②のツァイガルニック効果とは、「完結した出来事は忘れやすいが、
完結してない出来事は忘れないように脳が維持する。」というものである。
 
例えば昔の恋人が忘れられない人は、写真も全て捨てて、
連絡先も消して、スマホに残っている関連データも全部消して、
完全に未練を断ち切れば忘れることができる。
 
これが少しでも未練があると、脳の中ではまだ継続していることになるので、
「過去は過去としてキッパリ決別して新しい自分を生きる」と思えるようになることで、
過去を断ち切り記憶が捨てられる、という可能性が出てくる。
 
とは言うものの、昔の嫌な記憶にいつまでも囚われていてもしょうがないし、
ツァイガルニック効果を利用した対応も向き不向きや限度がある。
 
過去は過去のこととして流して、マイナスの経験もとりあえず置いておき、
①のように新しいことに挑戦したり経験したりして乗り越えていくことが、
より現実的な、嫌な記憶を忘れる方法と言えるだろう。