上達するのが早い人とそうでない人の違い

 
初めて伺う楽団やバンドに音楽指導に行く時は、
大体が年度の始めから、ということが多いです。
初回は、基礎練習から見ることがほとんどです。
 
教わる側の人達に説明したり、見本を見せたり、アドバイスをした後、
練習の最後に、
「私が次に来る時までに、あなたはどんな課題を作って達成させますか?」
と聞きます。
 
指導の周期としては、大体が半月~1か月後に来ることが多いのですが、
最初の1か月以内に自分の決めた課題を達成する人は、
ほぼ確実に、他より頭一つ抜き出るほど上達します。
 
「自分で決めたことを自分で決めた期日までに達成できるかどうか」
という点が、最も大きな分かれ道となります。
 
これは、別に音楽という面だけでなく、
自分で目標を立て、自分でコントロールするタイプの目標、
例えば筋トレとかダイエットとか、月々の目標などにも当てはまります。
 
 
 
ポイントは次の三つに絞られます。
 
①自分で立てた目標自体を忘れないように工夫すること
②現在の自分の状態から、少し頑張ればできるレベルの目標を立てること
③目標と現在位置を測定できるようにすること
 
①は、紙に書いて貼り出すでも、ノートやメモ帳の見るところに書いておくでも、
何でも良いと思いますが、自分のやりやすい方法で忘れないようにすることです。
できれば一日に何回も見返すことができるようにするとよいです。
 
②は、例えば、基礎練習の○番を暗譜するとか、
どうしてもつっかえてしまう特定の数小節などの部分について、
現在は譜面を見ずにテンポ100でならできる、というところを、
テンポ120まで上げてもできるようにする、などです。
 
③は、目標に少しでも近づくために、時間、回数、数値などで表したり、
理想の状態や現在の出来ばえを、より詳細に言語化できるようになることです。
 
仮に②を例に具体的な手順に起こしてみるなら、
次のようにしてみるとよいでしょう(あくまでも一例です)。
 
 1. まずはテンポ100から始め、落ち着いてできるようになるまで反復する。
 
 2. その後一呼吸入れて、できるようになったかどうかを確認をする。
  → 3回連続で成功したら、テンポを10上げる。
  → 3回連続で成功できなかったら、テンポを5下げる
 
 3. 変更したテンポで落ち着いてできるようになるまで反復する。
  → テンポ120でできるようになったら達成。
    次回の練習でも確認して定着させる。
  → まだテンポ120に達していなければ2へ。
 
間違っても、「今日も練習を頑張ったから、きっと成果は出ているはず」などと、
曖昧な状態のまま進めないことです。
 
最も大切なことは、
「一番初めのステップで結果を出すことが、その後を左右する」
ということです。
もちろん一番最初の時だけできればいい、というわけではありませんが。
 
その次は、やりやすくて効率の良い反復練習を自分で作っていくとよいでしょう。
 
 
 
学生や、年度単位でで一年のスケジュールが決まる団体においては、
早いところでは、そろそろ入れ替えの時期が近づいていることでしょう。
 
出会いや挨拶や決められた動作などもそうですが、
こういったことも「最初が肝心」なのです。
 
また、この記事の内容は、別に音楽だけに特化した考え方ではありませんので、
どこであってもどんなことであっても、もし応用して使えそうであるなら、
何かを始める時のきっかけとして使ってみるのも良いでしょう。