ドラッカーの5つの問い
①われわれの使命は何か?
②われわれの顧客は誰か?
③顧客にとっての価値は何か?
④われわれにとっての成果は何か?
⑤われわれの計画は何か?
●彼は日本についてはなんと言っているのか。まず「日本人の強み」だ。
ドラッカーは「道」と「源氏物語」を絶賛している。江戸時代の武士は、「剣道」と「書道」という2つの技術を持つ。
「道」には終身訓練が求められ、名人となっても訓練を続けなければその技術は急速に低下してしまう。
さらに「源氏物語」にある日本人の持つ美意識、知覚的な間隔がいつまでも根付いていることに大きく共感する。
●知識が基盤となる社会と経済において他に抜きんでる道は、当然のごとく、知識を基盤とする労働力を育てていくしかない。いかなる組織であっても「知識」に優れた人材を多数持つことが難しいことは統計的に分かっている。並の人材からより多くを引き出すしかないのだ。
つまり、長期的な視野で人材を育成し、専門性の確保をすることが必要なのだ。
●ドラッカーは晩年、企業がアウトソーシングや派遣労働者を増やすことに大きな警鐘をならした。
組織と働き手との関係が希薄になることは、重大な危険をはらむ。雇用関係にない外部の人材を長期で受け入れれば、雇用関係の雑務から開放され、多くのメリットがあるのかもしれない。
しかし企業にとって、人の育成こそが最重要課題であることを忘れてはならない。人を育てる能力まで失うならば、小さな利益に目がくらんだとしか言いようがない。
派遣労働者を大量にきらざるを得ないというのは、その産業が低い賃金コストでないと成立しない状態だったということである。
成長しているつもりが実は単に肥大化しただけであり、人を大切にするという日本的な良さを忘れてしまったことに他ならない。
派遣労働者を寮から追い出さなければ、今すぐに会社がつぶれてしまうほどなのか、内部留保も本当にないのか。これを機会に人減らしをしてしまおうと言う計算は働いていないのか、今一度企業は自らに問う必要があるだろう。
※元の資料では2009-2011年頃が時代背景であり、2022年現在のものではありませんのでご了承ください。