何かの説明会でも、講義でも講演などでも、最後の方に質疑応答があるが、これは「コミュニケーションは一方向からだけでなく、双方向からの方が深まる」ということによるからである。
また、聴き手側からすると疑問の解消に繋げられるし、話し手側からすると「質疑応答の時間を設けてほしい」という要望もあるし、たとえそこで質問が2、3件しかなかったとしても聴き手の満足度が向上するなどの効果や目的がある。
だから、質問できずにただ座ってずっと話を聴いているだけでは、インプット型の学習と変わらなくなってしまうのだ。
しかし、これが「質問しよう」と思って聞いているだけでも、アウトプット前提の学習に変わる。
そして、実際に最後に質問ができると、双方向の交流となる。
質疑応答を入れることで、話し手側と聴き手側とで双方向のコミュニケーションが取れるようになるのである。
先程のように、もし仮に質問が2、3件しか出なかったとしても、同じ疑問を持っている人が恐らくその何倍もいるものである。
或いは、参加者のほとんどが同じような疑問を抱いているかもしれない。
また、個人的な質問でないにしても、国会などのように幾つかの質問を代表質問として質問することでも、それを聴くことで内容の理解は深まっていくものである。
基本的には、「質問を考えながら聴く」ということをしていくと、自分がどこまで理解して、どこまで理解できていなかったかの線引きをすることになる。
話を聴いた後に質問ができる人は「自分はここまで理解できたけど、ここから分からなかった」となるから、自分の理解度を把握できるようになる。
だから、アウトプット前提、つまり「自分が当てられたらこう質問しよう(回答しよう)」と思いながら聴くだけで、アウトプットや学びの効果としても効率としても、圧倒的に高まってくるのだ。
「質問なんてしたくない、特に大勢の前でなんて嫌だ」と思うような人もいるかもしれない。
しかし、講演に限らず授業でも講義でも普通の話でも、「頭の中で質問を考えながら聴く」という姿勢を持つだけでも、学習したことを少しでも自分に身に付けていくためには大切なことなのである。