自分自身を観察する力を持つことは大切なことである。
自分と対話をすることで、自分の特徴や状態を正しく把握することによって、「どこに向かったら良いか」と言う方向性や、自分の進むべき道というものが見えてくるからだ。
自分が何をしている時に楽しいのか、苦しいのか。
自分の性格はどのようなものなのか。
自分の長所や短所はどういったものか。
自分の人生の目的や到達したい場所は一体何なのか。
こうしたことが分かってくると、自分の軸だったり、人生の目的だったり、生きていくための指針となることが見えてくるということに繋がると言える。
では、具体的にどのような行動をとったらよいか。
①日記をつける
今日あった出来事をただ振り返って記録するだけで終わらせないことが大切である。
それは良かったのか、悪かったのか、どうだったのか。
あまり良くなかったのなら、どうすれば良かったのか。
もっと良くなる方法はあったか。
このようなことも含めてフィードバックをするかたちをとって、自分の心の動きや行動の適切さを振り返ってみることで、自己洞察力も養われていきやすい。
②実際に行動する
自己洞察力が弱い人は実際に行動を起こしていないことが多く、「何かが起こったり、失敗したらどうしよう」と恐れてしまう。
しかし現実の世界は、新しいことをして失敗した時に、「なぜ上手くいかなかったか」、「足りない部分は何だったか」という部分が見えてくるものなのだ。
「失敗すること」は、むしろ「経験すること」とも言えるのである。
だから、チャレンジをして、インプットをして、アウトプットをして、フィードバックをするという行動が不可欠となる。
このサイクルを回していくことによって初めて経験が自己成長に変わってくるし、自己洞察力の向上にもつながるのだ。
言い換えれば、「やりながら考える」とか「トライアンドエラーを繰り返す」というようにも言い換えることができる。
「試行錯誤をしてやってみて、上手くいかなかったのなら改善する」ということを繰り返すことによって、自分の方向性やビジョンや目標というものがより明確に見えてくるのである。
何もしないで「無理」、「できない」、「失敗したら怖いのでやらない」ということばかり言っていると、実際の行動を何も起こさないわけだから、自分が何をしている時が楽しいのか、大変なのか、やった結果どこに向かうのか、ということも分からないままなのだ。
③継続する
上記の①②も含めて、「継続する」ということが大切である。
自分自身と向き合う作業というのは、なかなか簡単ではないことも多い。
また、一朝一夕でできることでもないから、結局は「一生かかってやっていくこと」のようなものだ。
20歳の時のビジョンは、30歳の時や40歳の時とでは当然変わってくる。
だから、自己洞察も常にやっていく必要があるし、当然自分の成長に合わせてそのビジョンも変わっていく。
さらに、自分が成長することによって新しい自分に変わっているわけだから、そこでまた自己洞察も必要になる。
自己洞察力を磨いていくために必要なことは、自己洞察をすることを継続することである。
自分が「楽しい」と感じることが分かっていないと、楽しいと思うことを増やすことすらできない。
もしも、自分の中での楽しいことを増やして苦しいことを避けるなり減らしていけば、幸せな人生に向かっていくのは間違いないことなのに、自己洞察力が弱いままだったら自分が今悲しくて辛い状態にあってもそれに気付けないことすらあるのだ。
また、今まさに楽しいことがあったのに、何も意識できないからただただ受け流してしまって、結果として「毎日つまらない」とか「退屈だ」と感じる状態でいることになってしまう。
人生を楽しむために、幸せになるために、自己洞察力は間違いなく必要な力である。
簡単なところで、例えば健康の話で言ったら、「今、自分が疲れている」ということに気付けないようなものなのだ。
楽しいことが増えて辛いことが減り、自分の将来の方向性や今のところの目標などが見えてくるようになるのだから、それだけでも自己洞察力を伸ばしてみる価値はあるのである。