辛い時、不安な時を上手に乗り切る過ごし方


 辛い時、不安な時には、何か他のことをして気を逸らすこと、できれば五感を刺激する行動に繋げるとよいです。
 最も良いのは睡眠をたっぷりとって、嫌なことを忘れたり、うまく整理がついたり、激しい感情が和らいだりするのが良いと思いますが、心が乱れてしまっている時はなかなかそうもいきません。

 ただ、そういう悶々とした気持ちでいる時に何もせずに寝転がってばかりだと、体は運動による発散が何もできていないのに頭の中で不安を煽る扁桃体は興奮したままとなってしまい、ネガティブな考えが次々と浮かんできてしまうことになります。

 脳は、何か情報が入ってくるとそれに対応する処理を始めるものなので、だからこそ辛い気持ちや不安な気持ちが続く時は、ある一つの事柄だけに処理を集中させないように、五感を使って分散させた方が鎮めやすいと言えます。


 例えば、
 ・入浴する、サウナに入る
  嫌な事や不安な事よりも「暑さ」に集中せざるを得なくなります。
  また、適度に入ることでリラックスし、気持ちが良い状態を作れます。

 ・ポジティブな言葉やおまじないなどを自分に言う
  言語情報を脳に入れると扁桃体の興奮は沈静化してくると言われます。
  悶々とした感情の反復と増幅を、言語や論理によって切り替えるということです。
  不安になった時は慌てずに自分を励ましてみるだけでも落ち着きやすいです。

 ・テレビを見たりゲームをしたり、好きな趣味などをする
  何かに没入する時間を作ると、気を逸らしたり気晴らしの時間になります。
  そこに集中することで、今までの辛さや不安を考えられない時間にもなります。
  好きな音楽や本や映画を楽しみその世界に入るのも良いです。

 ・運動や筋トレをする
  重いバーベルを持ち上げたり走ったりして体を動かします。
  全力疾走で苦しいのに「頭の中は不安で一杯」ということはありません。

 ・触れる、触れられるなど、触覚に関することをする
  マッサージを受ける、他人、子供、ペットと触れ合うなどがあります。
  オキシトシンも出て癒しになることでリラックスに繋がります。

 ・その他
  ・空腹をしっかり感じた後に、好きな食べ物を食べることに集中する。
  ・自然のある場所に行くなど、いつもと異なる風景や刺激を取り入れる。
  ・辛いこと不安なことを一旦言語化して紙に書き出し、丸めて捨てる。
  ・自分なりのリラックス方法や気分転換の方法を探してやってみる。


 本当にメンタル疾患で療養中の人なら話は別ですが、普通の人ならば上記の例のような別の刺激によって、過剰になってしまった感覚を鈍らせることができるでしょう。
 また、不安は「行動を促すサイン」と捉えることもできます。
 本来は、危険を回避したり立ち向うという人間の持つ本能であり、そこには何らかの判断と行動が要求されます。

 しかし、危険が迫って脳が警告を出して「さっさと行動しろ」と促しているのにも関わらず「何もしない」という対応は、脳にさらに警告をさせ、興奮を強め、不安を増幅させていくことになります。
 「何もしない」ことは不安に対して最も良くない対処であり、「何かをやる」ということが不安を脳から追い出すには有効なのです。

 こういうことは知識としてあらかじめ知っておき、いざ辛いとなってきた時に「じゃあちょっとやってみようか」というような感覚でいればよいのです。
 普段から考え過ぎてもプレッシャーや取り越し苦労になりますし、何より自分の本分に向き合う時間を割いてしまうことになります。
 ということで、辛かったり不安がひどかったりする時は、その時とは異なる他の感覚を刺激することで注意を逸らしたりネガティブな思考を切り替えたりして、脳の興奮状態を落ち着かせるように行動をするとよいです。