他人と意見が合わない時の対処法|感情に振り回されない考え方

 

 人と話していると、自分の意見が受け入れてもらえなかったり、相手の考えに賛同できなかったりすることがあります。

 会議や仕事の打ち合わせ、友人との会話、家族とのやり取りなどでも、こうした場面は意外と多いものです。
 そういう場面では、つい気分が悪くなったり、感情的になってしまうこともあるかもしれません。

 しかし、人の考え方というものは、人それぞれ違うものです。
 10人いれば、当然10人とも考え方は違います。

 まずはこの前提を理解しておくだけでも、人との会話や議論の受け止め方は大きく変わってきます。
 人の話を聞くときのコツ、とも言えるでしょう。

 さて、それでは実際に、他人と意見が合わない、賛同できない時には、どうしたらよいのでしょうか。
 また、そういう状況で、自分の心を乱されないためには、どのように対処すればよいのでしょうか。

 

 

 

1. 人の考え方は簡単には変えられない

 「他人の心や考えは変えられない」と言われますが、これは自分が相手の立場に立って考えると分かりやすいかもしれません。
 自分自身も、他人から無理やり考えを変えさせられたくはないはずです。

 それなのに相手の考えを無理に変えようとしたり、自分の意見を押し付けようとすると、結局はただ疲れるだけになってしまいます。

 もちろん、親しい間柄で価値観をすり合わせるために話し合うこと自体は無意味ではありません。
 とことん話し合うというのも良いですし、そうした機会も時には必要なのかもしれません。

 ただ、普通の知り合いや会社の同僚などの場合は、そこまで深く説得しようとしなくてもよい場面も多いものです。

 相手がこちらの話を聞き入れない。
 はぐらかす。
 まったく譲らない。

 そういう人に出会うことも、人生の中では誰にでも少なからずあるでしょう。
 その時に「頑固者だ」「頭でっかちだ」と腹を立ててしまうと、自分で自分のストレスの原因を作ってしまうことになります。

 ですから、人と話をする時には、「世の中には自分と違う考えの人も多い」という心持ちで聞くことです。

 そうすれば、全く異なる考え方をする人と出会ったとしても、「この人はこのような考え方なのだ」「そのような考え方もあるのか」と相手を尊重することができます。

 先程の例のような人にも、「この人はこういう考え方なのだ」と尊重(だけは)してあげればよいのです。

 そのように一旦受け止めておくだけでも、気持ちはかなり楽になります。
 人生の時間は有限なのです。

 

 

2. 意見が違う時の基本的な対応

 相手の意見に賛同できない時でも、まずは相手を尊重し、自分のネガティブな感情を排除し、相手の全てを否定せずに部分的に意見をしていくことが大切です。
 これは、ただの話し合いでも会議などでも等しく言えます。

 意見が食い違う場面では次の3点を意識すると、感情に引きずられず、落ち着いて対応しやすくなります。

 

①相手の意見を聞いて理解する

 人は「相手の意見が間違っている」と思った瞬間に、その意見を遮断してしまう傾向があります。
 最初から先入観で「この人は自分と反対の意見だ」と決めつけてしまうと、反対の部分ばかりが気になり、議論がかみ合わなくなってしまいます。

 しかし、実際には「三つの主張のうち二つは同意できる」「細かい部分だけ違っている」ということも少なくありません。

 意見が違うと感じた時こそ、いったん感情を横に置き、中立な立ち位置で、相手の話を具体的によく聞くことが大切です。

 まずは一通り聞いてから判断すればよいのです。

 

②自分の意見を的確に伝える

 要は、「感情を入れずに自分の意見を伝える」ということです。
 自分の考えを述べること自体は、とても大切なことですが、言い方や態度には配慮が必要です。

 例えば、「この部分は良いと思いますが、こちらの点はどうでしょうか」というように、良い部分は尊重した上で意見を伝えると、角が立ちにくくなります。

 また、「その案だとこういう問題が起こる可能性があります」「こういう点が少し気になります」といったように、淡々と理屈で伝えるだけでも十分です。

 次のような姿勢を意識するとよいです。


 ・事実を事実として伝える
 ・自分がそう思った理由や根拠を説明する
 ・落ち着いて話す


 相手を否定する言い方をしたり、怒った口調、小ばかにした口調で言うのはよくありません。
 「ちょっと違う」と思っても、ストレートに指摘し過ぎてしまえば、相手だって気分を害し、今後の人間関係に影響しかねません。

 

③相手の意見に敬意を払う

 相手への敬意ではなく、「相手の意見」に敬意を払います。
 そうすることで、人の好き嫌いとは切り分けて考えることができます。

 というのも、相手の意見が自分と違っていても、その人はそれなりに調べたり考えたりして意見を出しているものなのです。
 相手のそうした努力や準備をまずは受け止め、反対意見があるならその上で言えばよいのです。

 そこを無視してしまうと、相手本人も、そばで見ている人も、気分を害したり腹を立てることになります。
 「失礼な人」「人を見下す人」という印象を持たれてしまう可能性もあるでしょう。

 また、目上の人が大勢いる場などで、気まずく感じている、反論で相手を怒らせないか心配している、ということもあるかもしれません。
 誰だって、「良かれと思って発言して、マイナスの印象を持たれる」ことなんて望んでいないでしょう。

 だからこそ、「自分の意見や考え方を述べるのは大切」の考えと同じくらい、言い方や態度などに注意したり配慮したりすることも必要なのです。

 たとえ自分の意見や反論が論理的に100%正しかったとしても、相手に対して敬意のない振る舞いをしていたら、「論理的には正しいのに印象だけは特に悪い人」という、わけの分からないダメージだけが残ることになります。

 相手の意見に敬意を払うためには、最低限、次のような点は大切にしておきたいところです。


 ・丁寧な言葉遣い
 ・柔らかい物腰
 ・落ち着いた態度
 ・相手への敬意


 相手の意見は、一人の人間として、一人の企画や計画の立案者としての発言として聞きましょう。
 一人の、一生懸命頑張って調べて、準備して、発表してくれた人として敬意を払いましょう。

 その上で、あなたの「感情を排除した論理的な意見や懸念点」を述べる必要があるのです。
 それができていれば、少なくとも反対意見を言ったからといって、人間関係がこじれることはないのです。

 

 

3. 他人の言葉に振り回されないために

 他人、特に親や家族から「あれしろ、これしろ」と言われることも、よくあることです。

 そうした言葉に対して反発する気持ちが出てくるのは自然なことですし、自分の意思がはっきりしているなら、その方向に進めばよいだけです。

 ただし、「分かってる」「いちいちうるさい」「今やろうと思っていたのに」といった感情を溜め込んでしまうのはよくありません。

 無意識のうちに自分の行動が変わってしまうということは大きな問題だからです。
 また、知らないうちにやる気が削がれてしまい、本人は「なんとなくやる気がしない」と落ち込んで、他に何にも気付くことなく状況だけが悪化していくことも問題です。

 反発するにしても、一旦受け入れて理解しようとするにしても、自分で意識できていれば、ある程度はコントロールできるでしょう。

 自分で問題意識を持っていて、それについて何か対応したいのであれば、自分の考えを書き出すことが役立ちます。

 例えば、親から「お金を無駄遣いしないで貯金しなさい」と言われたとします。
 その時に、


 ・今の手持ちのお金のうち、まったく使わず全部貯金するべきなのか
 ・最初に半分だけ貯金するのがよいのか
 ・月の給料の何割かを先に貯金してから使い始める方が良いのか
 ・必要な物や経験にはある程度は優先して使うべきなのか
 ・貯金せずすべて使った方がよいのか


など、自分の考えを文章にして書いていきます。
 そして、


 ・自分はどう感じたのか
 ・なぜ反発したのか
 ・なぜ腹が立ったのか
 ・本当はどうしたいのか
 ・どうするべきか
 ・現時点で最も最適な判断は何か


などを書き進めていくと、少しずつ自分の考えが整理されていきます。

 時折、「なぜ」を入れてみるとよいでしょう。
 「なぜ」を書き出すことで、ひとまずはその時点のストレスが発散されるからです。

 書き出せる内容については、その時の年齢、環境、状態などで変わります。
 しかし、今の時点で一旦は、一件落着させることができるのです。

 また、出てきた結果には、素直に従った方が良いものもあれば、たとえ真逆の答えでも自分の考えを貫いた方がよいこともあります。
 しかし、基本的には自分自身を客観的に分析すれば自然と結論も出てきますし、「どうすればよいか」というその行動の方向性も見えてきます。


 人の心というものは、実際にはかなり漠然としたものです。
 しかし、言葉や文章にして書き出すことで、考えは次第に整理されていきます。

 そうしていくうちに、自分の本心や行動の方向も見えてくるものが増え、他人の言葉に心を乱されることが減っていくのです。

 

 

まとめ

 人と意見が違うこと自体は、ごく自然なことです。

 10人いれば10通りの考え方があります。
 その前提を理解しておくだけでも、人との関係はかなり楽になります。

 最後にポイントを整理します。


 ・他人の心や考えは簡単には変えられない
 ・意見が違う時はまず相手の話を聞いて理解する
 ・感情ではなく事実と理由で自分の意見を的確に伝える
 ・相手の意見に敬意を払う
 ・他人の言葉に乱された時は、自分の考えを書き出して整理する


 人と意見が違った時に、「そういう考え方もあるのだ」と受け止められるようになると、気持ちはずいぶん穏やかになります。

 また、お互いのためにもお互いの意見を、適切に理解し合い、伝え合い、尊重し合う方が建設的です。

 人生の時間は有限です。
 できるだけ余計なストレスを増やさず、落ち着いた気持ちで人と向き合っていきたいものです。