「一日一万歩が健康に良い」は、いつ言われ出したのか

 
歩くなら一日一万歩が健康に良いとか、七千歩が良いなど、
一体いつどこで言われ出したのかを調べてみた。
 
 
 
1. 一日一万歩が良いとされた由来
昭和38年(1963年)に、当時の運動不足解消についてウォーキングが見直され、
「一日一万歩運動」が国民的運動として、医師やジャーナリストから提唱された。
 
これに伴い、歩数計を開発して欲しいと言う依頼を受けて、
山佐時計計器株式会社が万歩計を開発した。
 
昭和39年(1964年)に行われる東京オリンピックの前の年ということと、
そのマーケティングキャンペーンという効果も背景にあり、
翌年の昭和40年(1965年)に一号機として発売された「万歩メーター」は、
当時のヒット商品となった。
 
こうして一日一万歩が定着されていったようである。
 
 
 
2. 現在では
①厚労省の国民栄養調査によると、
「健康日本21(第二次)」の目標値をもとに、
一日あたり、
 
・65歳以上
 男性7,000歩
 女性6,000歩
 
・20歳~64歳
 男性9,000歩 
 女性8,500歩
 
であった。
こうしてみると、一日七千歩が健康に良いとよく聞くのは、
高齢者に向けて言われている事であり、
それ以下の年代に対しては七千歩では運動量としては少し足りていない。
 
ちなみにこの数値は、策定された当時の平成22年の値を元に、
平成34年度の目標値として設定されたものである。
なお平成34年は令和4年になるので、今年である。
 
 
 
②東京都健康長寿医療センターによると、
健康状態を良好に保つためには、
 
・歩数が平均して一日に 8,000 歩程度
・そのうち速歩き(中強度の活動)が平均して一日に 20 分程度含まれている
 
ことが望ましいとされている。
ちなみにこの値は75歳以上が対象であり、
その「8,000歩、20分」に対して75歳未満は、
 
・「10,000歩、30分」で、メタボリック・シンドロームの予防に繋がる可能性がある。
・「12,000歩、40分」で、肥満の予防に繋がる可能性がある。
 
とされている(2014年11月時点)。
 
 
 
3. 歩くことの効果
詳細については医学や専門分野の研究論文などが参考になるかと思うが、
ここではよく言われていることを大まかにまとめておく。
あくまでも一ブログの投稿なので鵜呑みにせずに、本当に困っている方は、
ご自身で調べるなり、然るべきところに相談していただきたい。
 
・脳の働きを高める
・ストレスを軽減
・若年性認知症を予防
・アルツハイマー病のリスク減少
・視力の改善
・緑内障の発症リスクを減らし、症状を和らげる
・血流の改善
・心臓病のリスクの軽減
・糖尿病の予防
・消化、便通の改善
・大腸がんのリスク低下
・内臓脂肪の減少
・筋肉量の増加
・骨密度の減少を予防、骨折のリスクを減少
・腰痛の緩和
 
 
 
なかなか継続できない時は、一日一万歩にこだわらなくてもよいので、
一万歩分の運動を補えるように、楽しんでやれるものを見つけるとよいだろう。
以下、その点についてのメモである。
 
例えば、
・頻度を上げる
 一度に長距離で一万歩と考えず、できる範囲から分散させる。
 一週間に7日間すべてでなく3~5回程度でもよいのでまずは始めて、
 回数と時間はその後に少しずつでよいから増やしたり長くしたりしていくとよい。
 
・強度を適度に設定する
 今が散歩ペースであるとしたら、次は早足にしてみたり、
 その次は歩きながらでも多少話せるペースにしてみたり、
 その次はジョギングを数十秒入れる、といった具合に変えてみる。
 
・時間で設定する
 歩数がカウントとして気になりすぎてしまうなら、
 例えば一日30分など、尺度を変えてみる。
 
・散歩の時間をを誰かと分かち合う
 友人、家族、ペットとなど。
 
その他、退屈しないよう、しかし事故に気を付けながら、
歩くリズムを意識してみたり、景色を楽しみながらやるとよい。
また、一日一万歩が無理なら、最初は一日五千歩でも六千歩でも、
自分ができる範囲からやっていくとよい。
 
 
 
「歩くことは、人間にとって最良の薬である。」
― ヒポクラテス(ギリシャの医者, 紀元前460年頃 - 紀元前370年頃) -
 
 
 
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●参考
・山佐時計計器株式会社 万歩計の歩み
 
・厚生労働省
令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要
 
・国立健康・栄養研究所
健康日本21(第二次)分析評価事業 目標項目一覧
 
・東京都 健康長寿医療センター
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