よく眠れるようにしたいなら、基本的には寝る前2時間程度はリラックスして過ごした方がよい。
リラックスして交感神経優位の状態を副交感神経優位の状態に切り替えていないから、いつまでも頭が興奮して眠気が出ないという可能性がある。
また、寝る直前までゲームをしたりスマホを触ったりして交感神経が優位なまま眠っても、体が回復せずに疲れが残ってしまうので、やはりリラックスをして頭や体を寝る体制に切り替えておくことが大切である。
①入浴
簡単にリラックスする方法としては、入浴するとよいだろう。
寝る前90分には入浴を終えることで、体の深部体温が適度に下がり、眠りにつきやすくなる。
注意する点としては、スマホなどのデジタル機器を浴室に持ち込まないことである。
入浴はリラックスの効果が大変高いものだが、例えばスマホを浴室に持ち込んでそれを見ながら入浴をするというのは、視覚情報が脳を興奮させてしまうため、リラックスの効果がなくなってしまうのだ。
スマホでなくとも、タブレットでもテレビを見ながらでも、テレビ付きのサウナに入るって入る時でも、同じことである。
入浴の目的には疲れを取るためだけでなくリラックスをするという目的もあり、その中身としては、筋肉など体のリラックスだけでなく脳のリラックスという意味合いもあるのだ。
だから、入浴や休憩時間などのんびりしてリラックスをする時間にスマホ見ながらお風呂に入っていては、本来なら入っているだけでリラックス効果が得られ、睡眠にも誘われ、ストレスも発散されるはずなのに、その効果が全く得られなくなってしまうのだ。
②運動
軽い運動であれば筋肉をリラックスさせる効果があるため、睡眠に対して良い影響を及ぼすと言われている。
汗が流れるような激しい運動は心拍数を上げてしまうため、発汗して体温が上昇してしまい交感神経が優位になるので控えた方がよい。
深い睡眠に入るためには、筋肉が弛緩してリラックスしていることが重要なので、その代わりにストレッチやヨガなどのリラックス系の運動(激しいものは✕)を15~30分程度するとよいと言われている。
筋肉を緩めるという意味では、入浴もまた同じ効果があると言われている。
③食事
良い睡眠のためには、寝る前に食事は取らない方が良いだろう。
睡眠の重要な役割として疲労回復が挙げられるが、そのためには成長ホルモンがたくさん分泌されることが大事である。
この成長ホルモンが分泌されないと疲労も十分に回復されないため、ホルモンを出すための睡眠が重要になり、そのためには入眠後の最初の深い睡眠が重要となる。
通常だと、人は一晩に5~6回は深い睡眠と浅い睡眠を繰り返すと言われている。
その時に一番最初の深い睡眠が最も深い睡眠となるため、最初のその90分の周期を深く眠れるかどうかが大切であり、その日の睡眠の状態も大体決まるのだ。
成長ホルモンは、運動すると分泌され、脂肪を燃焼させる効果があると言われるが、脂肪を燃焼するため血糖値を高めてしまうことになる。
血糖値の値は、低いと成長ホルモンが出やすく高いと出づらいため、例えば寝る前の30分ぐらい前に食事をとってしまうと、ちょうど寝る時間頃に血糖値が上がってしまう。
その状態で睡眠に入っても成長ホルモンは出づらいため、せっかく睡眠時間を確保して目覚めが良かったとしても、体の疲労回復効果は得られていないことになるのだ。
一方で、睡眠時低血糖という状態もあり、睡眠中に血糖値が下がりすぎると睡眠にはよくないと言われている。
食事から寝るまでの間に5時間も6時間も空いてしまったり、体調崩していて食事を適切に取れていないなどの理由で血糖値が低くなりすぎてしまうと、かえって眠りにつきづらくなるので、軽い食事を取ったり何かを摘んだりした方が良い場合もあるだろう。
病気やその疑いなどが理由で睡眠時低血糖を起こす場合は医師に相談してほしい。
④睡眠アプリ
寝つきが悪かったり早朝覚醒してしまう時は、睡眠アプリを使うのもよいだろう。
しっかり眠れていて翌朝早く目が覚めるときがたまにあるというのは正常な範囲だろう。
しかし、そうでない上にグッスリ眠れていないという場合は、睡眠時間、質、客観的な計測データ、自覚症状などを確認するためにも睡眠アプリを使ってみるとよいかもしれない。
なお、飲酒、特に深酒をすると睡眠の持続が悪くなるので、そのような場合はお酒を飲まない日と比較をしてみるとよい。
また、寝る前に水分を摂り過ぎるとトイレに行くために目が覚めて、眠りが分断されてしまうので、基本的だが寝る前に水分を摂り過ぎないなど気をつけてみることである。
その他にも、高齢になったり加齢により早まるとも言われているが、基本的にはちゃんと寝られていてたまたま早めに起きたというのならば、あまり気にせずにその日は早めに活動してみる日にしてしまってもよいのではないか。
⑤現在の生活習慣の改善
・運動不足は解消しているか
・筋力不足は解消しているか
・朝起きたら日光を浴びているか
・例えば夜10時に寝て朝6時に起きるなど、規則正しい生活をしているか
・浪費や依存などの心配がない、健康的なストレス解消法を持っているか
・夜になってもいつまでも煌々と明かりを点けていないか
・寝る直前までテレビ、スマホ、ゲームを見ていないか
・深酒や喫煙など、健康に良くないことをし過ぎていないか
・医師からの処方でもないのに、市販の睡眠薬を常用していないか
一般的に健康である人は、よく眠れない原因が何かを探ったり、今の生活習慣がどうなのかをよく振り返ってみるなど、まずは自分からできる対応をしていくべきである。
自分で調べたり、それで解決できないから医師など相談すべき人や場所に相談する、ということもしないうちから、市販の薬や楽な方法にばかり頼るべきではないだろう。